2021年1月25日月曜日

鬼の寒念仏

二十四節気は、太陽の1年を24分割したものだから四季の趣とほゞ同調していて侮りがたい。

   今年の場合1月5日が小寒で、この日(寒の入り)から立春の前日つまり節分までの30日間が寒の内である。寒稽古、寒中水泳、寒行、寒参りなどの期間であり、寒念仏というのはこの30日間、市中や寺社を鉦や太鼓を叩いて題目や念仏を唱えながらめぐった修行?のことというが私はこれまでに実見していない。延暦寺や永平寺の寒行托鉢がニュースになるが、ああいう感じの、もっと庶民レベルの民俗仏教行事であったようだ。

 寒念仏最後の修行を「切り回向(えこう)」といい、「寒念仏鬼で目を突く切り回向」は、節分の豆で目潰しを食らった鬼がうろたえるトバッチリで、寒念仏仕上げの夜だというのに修行僧が鬼の角で目を突かれたという川柳である。

 大津絵では、この鬼の寒念仏のデザインが有名(人気)で、愛嬌があって私も好きである。

 その意味は、一般的には鬼の「空(から)」念仏といわれ、心にもない慈悲(寒念仏姿)を装っていても鬼は鬼ということで、うわべだけ殊勝な恰好をしてもアカンということらしい。昨今では、自公や維新の公約や発言が正にぴったりだが、いささか大津絵の鬼には可哀相な話である。

 大津絵は画題ごとに意味付けされた護符でもあり、鬼の寒念仏は子供の夜泣き封じの護符であったらしい。

 節分が近づいてきたが今年は友人のお寺の節分会も中止になった。そんなもので、床の間に小さな大津絵を掛けて節分を待っている。

 コロナ禍で経済の落ち込みが激しいが、今年はステイホームで恵方巻が大当たりしないだろうか。しかしショッピングモールはバレンタインデー一色になっている。世の中に鬼のような人間が増えすぎたので鬼も立つ瀬がないのだろう。 

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