中には「風俗業やその客など”要請”に応じてもらえない層がいくらか出てくるだろうから8割と言う」という教授の論立てに対して「風俗業に従事せざるを得ない人々への差別感がある」というものがあったが、実社会の社会政策を立案する場合、冷徹に現実を見据えるべきだと思うので、私は教授の主張を納得した。
また「現実に日本全国8割外出自粛にまで至らなかったのにピークが収束したから教授の主張は間違っていたし、そのために経済を停滞させた」という論があるが、それは結果論だと私は思う。
山中教授の言葉を借りれば「ファクターXはまだわからない」。
その「外出自粛」だが、関西圏ではいち早く休業要請の始まった大阪から、つまり大阪ナンバーの車が奈良県のパチンコ店に来ているというニュースが大々的に報じられ、その後全国でも「県境を跨いだ移動の自粛」が繰り返しアナウンスされた。
芸能人の不倫騒動ではないが、地域で感染者数が発表されると、何処の病院だ、何処の誰だ、何処でうつった、どんなところに立ち寄った‥などという噂が飛び交った。
さらには、他県ナンバーの車が走っている、マスクをしていない人がいる、営業している店がある等々の「自粛警察」「自警団」が噴出した。
我が家はこの図の地域ではありませんが・・ |
恐怖感が思考停止を生み、与えられた枠組みの”形式を絶対”として、それ以外を許せないというのはこういうことだろう。
そんな気持ちも底に秘めて(実際にはそんなに深刻には思っていないが)短歌を捻ってみたところ、赤旗・読者の文芸・鈴木英子選に採ってもらった。
県境(けんきょう)を跨(また)ぐなというアナウンス胸に刺さるも県境(くにざかい)に住む
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