麻生副総理兼財務大臣は、6月4日の参院財政金融委員会でコロナ対策について、「こういうのは死亡率が一番問題。死亡率を調べてみると、人口100万人当たり、フランスが228人、アメリカが824人、イギリスが309人、日本は7人だった」と述べ、そのうえで「おまえらだけ薬を持っているのかと海外からかかってきた電話でよく言われたが、『お宅とうちの国は国民の民度のレベルが違うんだ』と言うと、みんな絶句して黙る」と述べた。
上の表は日本医事新報Webの5月20日菅谷憲夫慶大教授の論文の中のもので、6月1日のブログ記事でも紹介した。
5月16日(一部18日)のデータであるから数字は古いが各国の傾向はよくわかる。
山中伸弥教授らもこの傾向を前提として意見をあげておられる。
5月16日(一部18日)のデータであるから数字は古いが各国の傾向はよくわかる。
山中伸弥教授らもこの傾向を前提として意見をあげておられる。
下の表は、768名の医師と医療事典を作成するプロジェクトMEDLEYのニュースの中の表である。
このデータは6月5日更新と言われているから数字としては新しい。
このデータは6月5日更新と言われているから数字としては新しい。
新型コロナウイルスの流行状況
(人口100万人あたりの死亡者数)
米国 328.8
ブラジル 155.7
ロシア 36.8
英国 605.9
スペイン 578.2
イタリア 555.9
インド 5.3
フランス 433.9
ドイツ 103.4
中国 3.2
韓国 5.3
日本(ク船除く) 7.2
(2020年6月5日更新、参考:Coronavirus COVID-19 Global Cases by
Johns Hopkins CSSE , WHO, 厚生労働省, 総務省統計局) *日本の死亡数は自治体公表資料集計分(厚生労働省HPより)
上の表にしても下の表にしても、麻生大臣の数字とは微妙に異なる。
微妙どころか、フランス、アメリカ、イギリスの数字は大きく異なる。麻生発言は、論旨も問題だが、前提たるデータが無茶苦茶ではないだろうか。
で上の表だが、明らかに人口当たりの死亡者数でいえば日本はアジアではフィリピンに次いでワースト2である。
微妙どころか、フランス、アメリカ、イギリスの数字は大きく異なる。麻生発言は、論旨も問題だが、前提たるデータが無茶苦茶ではないだろうか。
で上の表だが、明らかに人口当たりの死亡者数でいえば日本はアジアではフィリピンに次いでワースト2である。
「天に唾する」とはこういうことで、麻生説に従えば日本の民度はアジアで最低クラスということになる。
何でもかんでも政権の言うことに反対という立場には立たないが、科学やデータを直視せず、自分の都合のよい思い付きのためにデータを摘むのは閣僚としては全く失格だろう。
ただ、欧米に比べてアジアの人口比の死亡者数が少ないことは指摘されているところなので、山中伸弥教授はその理由をファクターXとして研究されている。私も衛生環境や生活習慣など「民度」的なものを無視するつもりはないが、重ねて言うが、麻生説なら日本人の民度はアジアの最低(ワースト2)になる。
民度という不確かな言葉は多用したくないが、アメリカでトランプがロックダウンを言い始めたときに銃砲店に行列ができたとの記事に接したときには、その社会意識の彼我の隔たりに私はため息をついた。
そんな折、5月31日の朝日新聞の朝日歌壇にすごい歌があった。
『アジア人初めて銃買う人多しコロナの元とねらわれる故 (アメリカ)大竹幾久子』というものだった。
こうして私のアメリカ感がトランプに引きずられて悪化していた際、警官による黒人男性暴行死に端を発した抗議行動に、各地の警官が(白人も含めて)片膝をついて連帯の意思を表明したというニュースがあり、トランプと対極のアメリカの民主主義に感じ入った。
日本でも、公務労働者の精神として大事にしたいことだと思った。
パンデミックで一番大事なことは国際的連携・協力だろう。「お宅とうちの国は国民の民度のレベルが違うんだ」と言うような閣僚はトランプと共に退場してもらいたいものである。
入梅の宣言前の炎暑とは
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他国を「ぎゃふん」と言わせたつもりになっている麻生さん、「みんな絶句して黙る」のは、コロナ禍で国際的な連帯が大切だという時に、こんな発言をするあなたの態度に対して、絶句して黙った(あきれてものが言えない)ということですよ。(解説するのも野暮ですが)
返信削除警官による黒人男性暴行死に対する抗議行動の際の、警官たちの片膝姿の写真と新聞記事を見たとき感激してしまいました。
返信削除猫持さんの野暮な正論に同感です。
返信削除ケンタさんのコメントも同じです。そして、日本の警官や公務員が、事案は別であっても同様の性格の事態に直面して、同じようなことができるかどうかと私は少し考えこみました。
官民を問わず、社畜と呼ばれる傾向の強い現代ニッポンは、ほんとうは少しおかしいのではないでしょうか。