2016年5月11日水曜日

唐草紋について

   忍冬(にんどう・すいかずら)の花が近所の道端に咲き誇っている。
 その花は始めは白く、徐々に黄色くなる。
 一般には「銀から金へ移る」と言われたりする。
 本によると、子どもたちが花の蜜を吸って遊ぶところから「吸葛(すいかずら)」と呼ばれ、枝葉が冬も萎れないので「忍冬(にんどう)」というとあった。

 私などは、この花を見ると「忍冬唐草紋」(にんどうからくさもん)という言葉が思い浮かぶ。
 正倉院の宝物や古代寺院の軒平瓦や仏像の須弥壇等に多い紋様で、中近東が故郷といわれている。
 なので平城(なら)がシルクロードの終着駅という宣伝文句もあながち嘘ハッタリとは思えない。
 さらに、この種の紋様が支持されたその理由の別のひとつが、この種の蔦系の植物の生命力が共通の認識だったという説に私は同意する。
 故に唐草文様は吉祥紋様である。

 ただ、こういう海外の文化を「換骨奪胎」というか「消化」というか、アレンジするのにこの民族が長けているという下世話な説も否定し難い。
 唐草紋は獅子舞の衣装となり、ドロボーの必須アイテムである風呂敷に昇格した。
 ドロボーは別として獅子舞の衣装は「吉祥紋」を肯定する。
 
 毎年そんなことを思い出しながらこの花を愛でている。

   13日に右の写真を追加した。
 法隆寺の軒平瓦(下)。
 唐草紋とは蔦の繋がったデザインを言っているようだ。

2 件のコメント:

  1. 嫁はんの蔵書「日本伝統文様集」に忍冬唐草文が見当たりません。写真の忍冬の花の部分を書き込んだ「唐花丸」とか「唐花と舞鳥」という文様はあります。本の解説に、何の花か分からないものを「唐花」「唐草」と云った、その形は様々で、蔓状になった細い曲線状のものが多い。-とあります。そば猪口の蛸唐草や古伊万里の微塵唐草などのように植物本体の花の部分が省略され蔦の部分のみが図案化されたものが一般的には唐草文様と云われているようですね。

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  2.  法隆寺の軒平瓦の写真を追加しました。飛鳥時代です。
     後には、忍冬の花よりも蔦の生命力が受けたのでしょうか。仏像関係周辺で多く見られます。

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