5月9日、GW明けの朝日俳壇と歌壇。どこか私の琴線に触れたものをご紹介。
春愁をはみ出す地震の画面かな (平塚市)秋濱 信夫
春日傘ひそかに杖とたのみけり (松戸市)斉木 直哉
春宵(しゅんしょう)や故人ばかりの映画観る (堺市)山戸 暁子
花の夜の残業の灯を消しにけり (東京都)飯沼 邦子
お守りのごとくケータイ握りしめ浅く眠りぬ余震に怯え
(熊本市)高添美津雄
地震速報つぐるテレビの音鳴ればかの三月の記憶に竦(すく)む
(仙台市)坂本 捷子
「骨壺と私は無事よ」熊本はひとり住まいのファックス届く
(愛知県)赤羽 一郎
アルコールゼロのビールの冷えた缶ググッと飲みほす介護の合間
(横浜市)杉本 恭子
手に持った物を捜しているような 平和のための改憲というは
(岐阜県)高岡 勉
花霞む山里ゆけばおちこちに隠しようなきフレコンバック
(福島市)美原 凍子
職退いて無駄に残り̪し吾が名刺焚けば炎のほんの束の間
(神戸市)杉岡 壱風
・・・同じ景色を見て、同じニュースに接しながらなんと敏感な感受性かと感心。
俳人、歌人に脱帽。
「綺麗」とか「美味い」とか「怒る」というような散文的ブログしか書けない自分が情けなくなるが、そこで筆を止めていないのが善いと自分を慰める。
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