2016年5月5日木曜日

端午の節供

   端午の節供は、古代より宮中や貴族社会で大事にされていた節日であって、近世には五節供のひとつとして江戸幕府の式日となった。

 そういう古代中国伝来の行事と、この時期に行われていた田植えに関連する田の神の来訪と物忌みの行事、乃至早乙女の神祭りの行事と習合し、後世には別に古俗としてあった成男戒の習俗=男児の節供が加わるとともに、菖蒲≒勝負≒尚武という語呂合わせも大いに受け入れられ、というか、それが前面に出るようになり、それらが新憲法下で再編されて子どもの日になって今日に至っている。

 要するにいろんな要素があるにはあるが、年中行事のひとつとして、好きな由来などをチョイスして、男女の別なく、子どもたちの思い出に残るように祝ってあげるのがよい。

   しかしながら、都市の住宅事情は伝統を継承するには多くの無理があり、我が子たちも「飾る場所(余裕)がない」というので、節供人形は寂しく我が家に残されたままだった。
 実際その昔、江戸間の『6畳・3畳・台所』という宿舎に義父母が新幹線に乗ってこの人形を担いで来た時には嬉しくも困惑したから、息子や娘の気持ちも判らなくはない。

 だから真剣に正暦寺の「人形供養」を検討したりしたのだが、頼んでおいた地元の議員の斡旋で、雛人形と五月人形は、けいはんな自然公園・水景園に無事お嫁入りすることが出来た。
 話がまとまったのが上巳の節供の後だったので、雛人形の方は今年のお目見えは持ち越されたが、五月人形の方はゴールデンウィーク前から来場者に公開されている。 
 背景のガラス越しに新緑の木々が揺れ、巣立った子の新家庭が一つ増えたような穏やかな気分になった。
 
   住宅事情と言えば、子育て世代が住む住宅に余裕があるわけでもないから、鯉のぼりは今年、孫たちのために新たに我が家に打ち立てた。
 そして、子どもたちに、これからこの時期には孫たちを連れて鯉のぼりを見に来るようにと指示をした。ふっふっふ。近所の方々には、年寄りだけで鯉のぼりを立てている酔狂な家と思われている。

   おまけの話として、我が家はこの時期菖蒲湯に入り、出て来る時に菖蒲を1本抜いて鉢巻をすることになっている。
 延喜式にいう「五月五日、天皇出御、菖蒲鬘を着します」の高邁な僻邪の行事というよりも、「こうすれば頭痛にならない」という父母、祖父母からの言い伝え。素朴な夏に向かう僻病の願いごと。
 これは住宅事情には関係ないから、子どもたちにも必ず継承するよう厳命している。
 報道の自由度世界72位という国であるから、菖蒲の力で頭の中が騙されないように鉢巻をすると考えるのも良い。
 もちろん、我々老夫婦も鉢巻をするが、こちらは加齢による頭痛封じという旧来の素直なおまじない。

5 件のコメント:

  1. すがおちゃん2016年5月5日 15:00

     おもしろく拝読。文字は こどもの日 のようですね。

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  2.  国民の祝日に関する法律第2条では、『こどもの日 五月五日 こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する。』とありますね。了解。

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  3. わが家も母がくれた「金太郎」さんと、義父母がくれた「金太郎」さんが二つ並んでいました。

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  4. それは調整が必要です。今年、娘夫婦の子のための兜飾りも調整をして、お婿さんの実家が買ってくれました。なので、我が家は心置きなく鯉のぼりを購入したのです。

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  5.  「孫の凜ちゃんが水景園で具足飾りを見たよ」と娘から写真付きのメールがありました。

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