桑の実を食べたる舌を見せにけり 綾部仁喜。
桑の実の熟した色をドドメ色というが、ネガティブな印象が先行しているので使いづらい。
しかし冷静に話をすすめれば、ドドメ色に熟した桑の実はそのまま生食して美味しい。
以前に書いたが私は堺市の都心部で育ったから大人になるまで桑の実を知らなかった。
桑の実どころか桑そのものを知らなかったから群馬県に行ったときその地の人々に「無花果畑が多いのですね」と列車から見た感想を述べて顰蹙を買った。
その後群馬県出身の上司にまみえたが、酒席で「天皇陛下は田植え、皇后陛下は養蚕をするのだ」との自慢話をよく聞いた。
その地では養蚕に非常に大きな誇りがあったのだ。
それもそのはず、桑は紀元前から山海経や詩経にも登場する神木らしい。
〽赤とんぼ ぐらいしか知らなかった自分が恥ずかしい。
少し違う話だが、地図記号の中に、一般的な畑以外に桑畑と茶畑だけが別の地図記号を持っているのも近代史の反映だ。
これは明治の富国強兵政策の屋台骨を担っていたから。
ドドメ色の実を口に放り込みながら、そんないろんなことが頭をよぎった。
小学校の校門近くでゴム鉄砲やひよこ等をよく売りに来ていましたが、そんな中に「蚕」もあったでしょうか。
返信削除妻はたしかそういう香具師から買ったのだろうというのですが、蚕を飼ったそうです。
それで思い出しましたが、私はミノムシを蓑から引き出して、小さな色紙をいっぱい入れた箱で飼いました。そうすると綺麗な蓑が出来ました。近からず遠からずと言ったところでしょうか。