2011年5月31日火曜日

楝の花、いとをかし

 ネットは便利になったものである。
 昔々「夏は来ぬ」の歌詞をワープロで打っていたとき、4番の出だしの♪楝散る川辺の宿の~の楝の意味も読み方も解からずに難儀をしたことを思い出した。
 いろいろ挑戦して、「おうち」で直ぐに変換できたときにはCASIOのワープロは偉い!と感心した。
(今ならネットで直ぐに解明できる話である。)
 昨日も、実母の施設に歌詞をプリントして持参し、4人の方々と楽しく合唱した。
 合唱・・・・少し正確には、各自のリズムもバラバラであったり、他の3人が「夏は来ぬ」を歌っていたときに母は「朧月夜」を歌っていたが、そんなことは何の問題でもない。
 そこで他の方から「楝とはどんな花ですか?」と尋ねられたので、「(あふち)とは栴檀の木らしいですよ」とだけ答えて帰ってきたが、・・・・家で妻に「そこで咲いている最中やないの」と指摘されたのが、この写真。
 台風の後で少しパッとしないが風情も香りも申し分がない。全景も良い。
 そしてこの木、真冬の寒天に白い実をいっぱい散りばめている様も捨てがたい。・・・が、木の幹、葉、枝ぶりは、安物の街路樹というか、丈夫だけが取り柄の輸入花木というか(輸入品ではないのだが)・・・。そういう面ではほんとうに情趣の漂ってこない味気のない花木である。
 ・・で気がついたのが、読み飛ばしていた枕草子。そこには、ズバリ、「木のさま憎げなれど、楝(あふち)の花、いとをかし。」と澄ました顔で判定してあった。
 参った参った清少納言。
 この人の観察力と感性には脱帽してひれ伏して五体投地して賛仰するしかない。

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