2011年4月22日金曜日

そも 鳥は精霊であった

 オシドリのいた池の鴨たちも旅立ち、鵜だけが喧しく子育ての最終コースを努めている。

藤井寺市・津堂城山古墳の
水鳥形埴輪
  その水鳥のことだが、古代の遺跡からは鳥形木製品や鳥型埴輪が発見されており、その意味について史学者達が諸説開陳しているが、・・・「それは、渡り鳥(主として水鳥)が時処をたがえずに帰り来る姿を祖霊の化身と信じたからである。」「そのことは、鳥や隹(ふるどり)という文字自身がその頃の世界を憶えているので明らかだ。」と白川静先生は喝破している。
 転じて水鳥は、神の化身となり神の使いとなったのであろう。
  
 
 そんなことを考えると、既にこの地を不在となった水鳥たちの旅立ちを言祝ぎ秋の再来を心から念じたい。
 大いなるマンネリ・季節の繰り返しほど幸せなことはないと、文字も埴輪も教えてはいまいか。
 さあ、もう10日もすれば夏鳥たちの登場だ。私は(去年こそ例外的に執行できなかったが)毎年5月3日きっかりにキビタキと対面することを「年中行事」としている。恋の囀りは、既にあちこちで始まっている。

(参照)常用字解の『推』

 作家のような、あるいは技術者のような先生方が目につく昨今、白川静氏の著書に触れるたびに、「ああ、この方こそ学者に違いない」との思いを新たにする。




                      白川静監修小山鉄郎著「白川静さんに学ぶ 漢字は楽しい」新潮文庫

 写真の本の上でクリックすると拡大して読めると思います。
 ただし、著作権を尊重し2頁に止めます。





4 件のコメント:

  1. 昔の健全な時の(?)NHKTVが放送した「白川静」先生の語りのVTRが2本有ります。古代中国の人たちの思想、文化、生活が漢字に具象化されて行く話。甲骨文字を一字一字トレースして古代文字を覚えながら解釈した研究生活。大自然と人間との深い関わり合いから漢字が生まれた経緯から漢字を人為的に切り捨てたり、簡略化したり、丸暗記で事足りとする教育を厳しく批判する話。漢字文化圏として東アジア全体を理解し合う視点の話。万葉集と詩経の話等、白川先生の古代の人たちへの暖かいまなざしを感じてファンの一人として何回も繰り返し見ております。

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  2. 白川静ファン一人見つけ・・・。
    奇人は奇人を認めるようですね。

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  3.  この水鳥の埴輪、先日の歴史散策で訪れた藤井寺の「シュラホール」に展示してありました。埴輪のイメージを超える大型で参加者一同、驚嘆しました。姿はどう見ても白鳥でしたが、それよりももっと大きな鳥が飛んでいたのかも、ロマンです。

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  4.  たしか斃れたヤマトタケルは白鳥になって帰ってきた。その地が羽曳野市の白鳥。再び飛び立って堺に帰ってきた。その地が大鳥でしたよね。

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