2024年12月19日木曜日

呦呦

    奈良の東大寺戒壇堂近くの細道に、どこかの会社の保養所だろうか?『呦呦荘』という建物があり、そこを通るたびに「何て読むのかなあ」「どういう意味かなあ」と思いながら調べることなくもう何年も過ごしてきた。浅学の上に怠け者である。
 通常こういう漢字は、偏(口)は置いておいて旁を読めばよいというから「よう」かなと考えたが、「ようよう」という熟語も聞いたことがないし、もっと如何にも漢語らしい言葉のような気がする。
 そこで私が一番気に入っている「新潮日本語漢字辞典」を探したが見つからず、それなら漢語だと三省堂の「大明解漢和辞典」、さらにはヤマ勘から逆説的に「広辞苑」を牽いたが出てこなかった。

 ところが今度、軽くパソコンで「口偏に幼」と検索してみると何の苦労もなく答えが出てきたので驚いたというか、あっけにとられた次第である。
 それは詩経の中の小雅に「鹿鳴」として、
呦呦鹿鳴 食野之苹
我有嘉賓 鼓瑟吹笙
吹笙鼓簧 承筐是將
人之好我 示我周行 
 その読みは、
 ゆうゆうとしかなき やのへいをはむ われにかひんあり しつをひきしょうをふかん しょうをふきこうをひき きょうをささげてここにすすむ ひとのわれをよみし われにしゅうこうをしめせ
 その通釈は、
 ゆうゆうと(祖霊の使者の)鹿が鳴き、野の苹を食む。 我がもとに降りしは祖先の御霊。いざ瑟を弾き笙を吹こうぞ。笙を吹き簧を弾いて、かごの御供え捧げ祀らん。我をめで、我に正しき道を示し給え。
 ・・だというのである。

 さらに中日辞典では、youyou(oの上に横線)で「鹿の鳴き声」とあった。
 で「ようよう」なのか「ゆうゆう」なのか確とは解らないが、呦呦荘はきっと「ようようそう」か「ゆうゆうそう」に違いない。そして命名者は漢文の素養があった。戦前の教養人なら当然だったかもしれないが。

 長い間捨て置いていた問いが八割方にしてもあっけなく一挙に解けて、今更ながらネット社会の便利さに関心しているところである。
 発音の判る方は素人にも解るようにご教示ください。
 ちなみに「呦呦鹿鳴」と検索すると、フィギアかゲームか知らないアニメみたいなものが出てくる。これは何でしょう?

2 件のコメント:

  1. ハッと気が付いた「ネットの翻訳機能にはスピーカーもついていたはずだ」と。
    Google翻訳で呦呦を入れてみると、広東語では「ヤウヤウ」のように聞こえるが、若干のニュアンスの違いはあるが、中国語(繁体)、中国語(簡体)、日本語、の発音(スピーカー)は「ようよう」というか「ヨーヨー」だった。
    で本件は「ようようそう」で一見落着としたい。

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  2. この話を孫の夏ちゃんにしたところ「スマホのグーグルレンズをかざしたら直ぐに判るよ」と諭された。試すとホンマや! なんという時代の進歩だ。ただしそれでは勉強にならんやろ!と反論したが、負け惜しみみたいだった。

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