2024年12月10日火曜日

シリアの行方

    シリアのアサド政権が崩壊した。
 
 フリージャーナリスト西谷文和氏の本に、「今まで取材した紛争地で一番恐ろしかった国はどこですか?」。この手の質問には「それは間違いなくシリアです」と答えている・・とあった。
 多くの紛争地では両者が約数キロ離れてロケット弾の撃ち合いをしていたが、シリアのアレッポでは双方の間が約2~300m! その距離でカラシニコフ銃を撃ち合う。
 西谷氏は反政府軍(自由シリア軍)に入って取材した。
 「中国人か?」「いや日本から来た」「日本人は大歓迎だ」。兵士たちが声を揃える。アサド軍をロシア、イラン、中国が支えているのでこうらしい。

 シリアの取材は各隣国が国境閉鎖をしているのでトルコからの密入出国しかなく、トルコ軍や隣国の秘密警察に度々捕まりながらの取材だった。ただ例の安田純平氏の場合は途中でギャングに捕まったのが不幸だったという。
 市街戦では銃撃をするたびに「アラー、アクバル(神は偉大なり)」と叫び、相手も撃ち返すたびに「アラー、アクバル」という。ムスリム同士(スンニ派とシーア派などの違いがあるが)が殺し合いをしている。
 シリアの場合は、アサドの残虐な弾圧が長く続いたので、その犠牲者らによる復讐の気持ちが強いようだ。
 だとすると、平和な世界というのは「撃ち方止めー!」では片付かない。

 もう一つ思うのは、アフガンの中村哲氏の本にあったが、家族を養うために村から傭兵の出稼ぎに行っていた男に「タリバン軍に行っていたのか?」と聞くと「アメリカ軍だ」ということで、結局貧しさ・・生活のために戦争が続いているということもある。
 そういう意味で、中村医師の用水路の仕事こそ真の平和への道だろう。

 核抑止力だとか軍事費倍増だとか海外派兵だ同志国だなどと言うのでなく、憲法9条のある日本こそ難民救済や医療提供に全力を注入すべきではないだろうか。それが一番の自衛策だと中村医師も体験を通して述べている。
 シリアの未来を思いながら、そんなことを思い返した。

0 件のコメント:

コメントを投稿