2022年5月26日木曜日

貝になりたい

   『私は貝になりたい』は、現TBSテレビで1958年に放送されたテレビドラマで。元陸軍中尉・加藤哲太郎の獄中手記「狂える戦犯死刑囚」の遺書部分をもとに創作されたもので、第二次世界大戦中に上官の命令で捕虜を刺殺した全く凡人の理髪店主が、戦後C級戦犯として逮捕され処刑されるまでを描いた重いドラマだった。
 どういうわけか私はこのドラマを見ており、幼いながらも戦争とはどんなものか、人生とは、死とはとどういうものかとトラウマになるくらい深刻に考えた作品だった。そのトラウマが蘇ってきそうなニュースがあった。

 それは、ウクライナ侵攻中に自転車に乗っていた民間人男性を殺害したとして、戦争犯罪として初めて起訴されたロシア兵に対し、ウクライナの首都キーウの裁判所は23日、終身刑を言い渡したというニュースだった。被告の21歳のロシア兵は上官の命令によって射殺したと述べていた。

 これと同じことは、否もっと組織的に大規模に、日本軍がしてきたことだった。それは膨大な証拠隠滅、焼却処分があったにもかかわらず、残った公文書である陣中日誌にも書かれているし、多くの軍隊経験者が「度胸をつけるため」と言われて命じられ実行したと証言している。

 もう一つ、アイヒマン裁判のことがある。元ナチ官僚アイヒマンは法廷で裁かれたのであるが、実はこの男は、非人間的な悪魔でもなんでもなく、極めて「つまらない男」であった。彼は終始一貫「自分は上からの命令に従っただけである。その命令を覆す権限は自分にはなかった」と繰り返した。それでもイエルサレムの法廷は、独裁体制の下でも個人の責任は問われるとして処刑を言い渡した。

 戦場の局面では討論も時間もない。それが戦争だろう。
 戦争になったら、私も「戦争犯罪人」になるかもしれない。
 幸いわが国には憲法9条がある。戦争に勝つための議論よりも、戦争にならないようにする議論の方が重要である。

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