2022年5月2日月曜日

明日は憲法記念日、そして刑法改正案について

   ロシアではウクライナ侵略とほぼ同時に情報統制を強める法律が成立した。こういうのを「
戦争のリアル」というのだろう。
軍事をめぐる報道や発信の内容を当局が虚偽と判断すれば、記者らに最大15年の禁錮刑を科す。

 メディアには「攻撃」「侵攻」などの表現を禁じ、「原発に放火したのは、ウクライナの工作員だ」と主張。こうした「公式見解」に疑義を呈する報道は「フェイクニュース」(偽情報)だとして犯罪にされる。
 外国人記者も対象となるので、日本をはじめ各国メディアもロシア国内の支局などからの報道を中断している。

 日本でも先の大戦時には大本営発表を流し続け、結局、アジアの人々を殺し、日本の兵隊を殺し、沖縄の住民や都市の空襲で庶民を殺し、ヒロシマ、ナガサキの人々を殺し、多くの後遺症を負わせたうえで破滅的な敗戦を招いた。
 それでもロシアの現実は別世界の「物語」だと言えるだろうか。

 ここ15年程の日本の国会と政権による「表現の自由」への制約に、私たちは相当「茹で蛙」にされつつないか。
 確かに、この国をウクライナにならないようにと願う気持ちは大事だが、よりリアルな課題はこの国をロシアのような国にしないことではないだろうか。

自民党憲法改正草案(2012年4月27日決定)
※アンダーライン部分を新たに挿入(改訂)
(表現の自由)
第21条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、保障する。
2 前項の規定にかかわらず、公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、並びにそれを目的として結社をすることは、認められない。
 検閲は、してはならない。通信の秘密は、侵してはならない。

※政権の悪政の強行に反対して集会やデモをしたら「公の秩序を害する」と認定され、そういう政党は非合法とされないか。笑うことなかれ、ロシアでは、そして70年ほど前の日本ではそれが「当たり前」とされていた。そんな心配を笑った後で怖くなる。

自衛隊が反戦デモ鎮圧訓練をしていることが国会で明らかになった。
維新の質問主意書に合わせて教科書の「従軍慰安婦」や「強制連行」の記述が訂正させられた。
慰安婦問題の授業が地方紙に掲載された教諭に対して維新の吉村知事がツイッターで非難を加えた。
慰安婦を含む研究を行った阪大大学院名誉教授に自民の杉田議員が「反日学者」と攻撃した。

いま国会では侮辱罪の厳罰化を含む刑法改正案が審議されている。表向きはネット上での執拗な中傷などと説明されているが、参考人の日弁連趙弁護士らは「表現の自由を損ねる危険があり、北海道のヤジ事件はその危険性を如実に示している」と。

事実、4月27日の衆議院法務委員会では、米山隆一議員が「たとえば、私が『総理は嘘つきで顔を見るのも嫌だ。早く辞めたらいいのに』と言った場合、これは“嘘つき”という侮辱的表現を含むものだと思いますが、この発言は侮辱罪に該当しますか? また、これを私ではなく私の妻(室井佑月)がコラムで書いた場合には該当しますか? また、新潟県魚沼市で精肉店を営んでいる私の母が、買いに来たお客さんにこの言葉を言った場合には侮辱罪に該当しますか? それぞれ法的根拠をもとに答えてください」と質問したのに対して、法務省の川原隆司刑事局長は「この場で、法務当局あるいは法務省として、その犯罪の成否についてお答えをすることは差し控えたい」と、つまり「総理は嘘つき」という言葉が「侮辱」として判断され、場合によっては懲役刑が科される可能性がある、と答弁した。

さらに、二之湯国家公安委員長は、「閣僚または国会議員を侮辱した者は逮捕される可能性はあるか」という質問に対し、「侮辱罪を犯した者が逮捕される可能性はまだ残っている」と、逮捕の可能性を否定しなかった。

いや、そればかりか、2019年に札幌市で街頭演説中の当時の安倍晋三首相に「安倍辞めろ」などとヤジを飛ばした市民が北海道警の警察官に排除された問題について、今年3月に北海道地裁は、道警が表現の自由を侵害したとしてその違法性を認め、道に対して計88万円の支払いを命じる判決を出している。道が高裁に控訴したとはいえ、本村伸子衆院議員が「北海道警の対応は適切だったのか」と問うと、二之湯国家公安委員長は「北海道警察の処置は正しかったと思っている」と答弁した。

さて、それでもロシアは別世界のことですか。「お花畑」は誰ですか。

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