2019年9月2日月曜日

嫌韓キャンペンーンと上皇のお言葉

 先日何人かで酒を飲んだとき、非常にまじめな先輩が「韓国は無理難題を言う」「アメリカも怒っている」というマスコミ論調そのもので話をしたので些かショックだったが、冷ややかに考えると普通にテレビを見ている人はそう思うだろうなあと思う。
 マスコミは政府の言葉を垂れ流し、それ以上に煽っている。これは途上国の独裁政権、あるいは戦前の時代と瓜二つである。
 ただ、現代起こっている徴用工問題の韓国大法院判決やトリエンナーレの慰安婦の少女像については不十分ながらこのブログで書いてきたので今回は重複を避ける。

 そこで少し角度を変えて冷静な議論のために一つの資料を提供する。
 それは平成13年の『天皇陛下お誕生日に際し』ての記者会見の内容である。
 ここの天皇はもちろん現上皇のことであり、文章は宮内庁のホームページのものそのままである。

 ■ 問3  世界的なイベントであるサッカーのワールドカップが来年,日本と韓国の共同開催で行われます。開催が近づくにつれ,両国の市民レベルの交流も活発化していますが,歴史的,地理的にも近い国である韓国に対し,陛下が持っておられる関心,思いなどをお聞かせください。

 ■ 天皇陛下
 日本と韓国との人々の間には,古くから深い交流があったことは,日本書紀などに詳しく記されています。韓国から移住した人々や,招へいされた人々によって,様々な文化や技術が伝えられました。
 宮内庁楽部の楽師の中には,当時の移住者の子孫で,代々楽師を務め,今も折々に雅楽を演奏している人があります。
 こうした文化や技術が,日本の人々の熱意と韓国の人々の友好的態度によって日本にもたらされたことは,幸いなことだったと思います。日本のその後の発展に,大きく寄与したことと思っています。
 私自身としては,桓武天皇の生母が百済の武寧王の子孫であると,続日本紀に記されていることに,韓国とのゆかりを感じています。武寧王は日本との関係が深く,この時以来,日本に五経博士が代々招へいされるようになりました。また,武寧王の子,聖明王は,日本に仏教を伝えたことで知られております。 
 しかし,残念なことに,韓国との交流は,このような交流ばかりではありませんでした。このことを,私どもは忘れてはならないと思います。

 以上、私はこのような上皇(平成の天皇)の理性的な見解に非常に感銘を受けている。
 そして、反韓国のいわゆるヘイトスピーチを繰り返している右翼の人々はこれらの見解をどう受け止めているのかと不思議に思う。
 冷静になれ、大人になれが今一番大切なキーワードではないだろうか。


■おまけ■ 内田樹氏が次のようにツイートされている。
   この時期に日韓関係について、何を語るのかは、その人の知的誠実さと市民的成熟についての決定的な指標だと思います。僕がもともと「なんか胡散臭いな」と思っていた連中はだいたいがうち揃って「嫌韓コーラス」に参加しているようです。なんてわかりやすい人たちなんだろう。

   丸木舟倭人の故地は西の方

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