朝日新聞に半藤一利さんの『歴史探偵おぼえ書き』が先日掲載された。
中見出しは『強いスローガンの恐ろしさ』で、写真(漫画)は大阪朝日新聞の「日露戦争の講和条件を批判するもの」。そして、記事の内容は写真のとおりである。(写真上でクリックすると拡大されて容易く読めると思う)
私はかねがね、明治38年のポーツマス条約を弱腰外交と批判した新聞(例えば:万朝報(よろずちょうほう)「わが国民は小村(寿太郎)を迎えるに弔旗をもってせよ」と主張)の登場から戦前のこの国の進路は誤ったと考えていて、上記の記事に全く同意する。
半藤氏は別の著作で次のようにも述べられている。
■ 朝日新聞は自社の70年史で書いています。
「昭和6年以前と以後の朝日新聞には木に竹をついだような矛盾を感じるであろうが、柳条溝の爆発で一挙に準戦時状況に入るとともに、新聞社はすべて沈黙を余儀なくされた」とお書きになっていますけれど、違いますね。
沈黙を余儀なくされたのではなく、商売のために軍部と一緒になって走ったんですよ。
つまり、ジャーナリズムというのは、基本的にはそういうものでね。歴史を本当には学んでいないんですよ。
こう言っちゃ身も蓋もないけれど、いまのマスコミだって、売れるから叩く、売れるから持ち上げる、そんなところだと思いますよ。(そして、メディアは日本を戦争に導いた)■
半藤氏は文芸春秋や週刊文春の編集長も歴任されたされた方で、いわゆる左翼の方ではないが、まじめに近現代史を見てこられた結果がこういう言葉になっている。現在の氏の勇気ある発言の数々には敬意を感じている。
現代人は、氏の指摘を深く噛み締めながらテレビや新聞に対面することが重要な気がしている。
勇ましい言霊の国は過去の国
ナチスに加担したドイツのメディアは、戦後すべて廃止され、戦争責任に汚れていない関係者に戦後ドイツのメディアの復活は委ねられた。
返信削除ところが、日本では侵略戦争扇動の記事で部数拡大競争を行った大手メディアは、戦後名前すら変えずに新聞発行を続けた。
「嫌韓」に流れる根本にはこの弱点がある。( 9/6 志位和夫Twitter) この見解にも同意。
最近のマスコミは特にひどいですね。いろんな面で戦後処理のまずさを、ドイツに比して感じます。特に将来を担う子供たちへの影響、教育が気になって仕方ありません。
返信削除まだ少数派かもしれませんが、嫌韓キャンペーンのメディアに大いに異議申し立てをする知識人の皆さんも目につきますから、悲観論というか、嘆いているだけではよくないのでしょうね。SNSのfbなどでもすばらしい意見などをシェア・拡散することも大事な気がします。
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