著者の渡邉義浩氏の中国古典に対する知識の深さと論の緻密さにはかねがね敬意を払っている。
そんなこともあり『漢帝国』(中公新書)はあまり迷わずに購入した。
が、予想どおり、読み終えるまでに時間を要した。
秦を滅亡させ、項羽を破った劉邦が紀元前202年に建てた漢は、途中王莽の簒奪を挟み紀元後220年に魏に滅ぼされるまで、計400年余り続いた大帝国である。
有名な『項羽と劉邦』の本もあったし、十八史略等々から何となくあらすじの知っていた時代だが、この本は通俗小説ではないので、1ページ読むのに時間がかかり、おまけに後半を読んでいる頃には前半の大事なところを忘れているから、読むのに骨が折れた。
そんな本だから、読んでいるうちに眠気を催し、そのためますます頭に入らず、読書が進まなかった。
で、読書感想文を書くほど頭の整理もできていない。
ただ、黄老の思想を乗り越え、隋時代等の仏教を乗り越え、中国を規定し続けた「儒教国家」の恐れに似たパワーを再認識させられた。
ヨーロッパに「全ての道はローマに通ず」という言葉があるように、東アジアのすべての道は漢に通じているような気がする。
文字の国というか、イデオロギーの国だった。
購入しておいて損のない本だと思う。
故郷の表示なき沢蟹店頭に
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