奈良公園の県庁の北側で、県立美術館改修に関わって県婦人会館・消費生活センターを取り壊し、跡地の発掘調査が行われている。
この場所は1969年の婦人会館・消費生活センター建設時の事前調査で『1181年の南都焼討後の興福寺再建時の瓦の窯跡が検出されていて、このため建物を北側にずらす設計変更を行い保存されてきたものだが、奈良県は今回それを「記録保存」して遺跡そのものは破壊するとした。
これが古都・奈良の県政だというのだから怒りを通り越して悲しくなる。
このため、私も参加している文化財保存全国協議会と奈良歴史遺産市民ネットワークは連名で、県と県教委に「窯跡を現地保存し、遺跡の見られる美術館に」と要望してきた。
23日の朝日新聞によると、これに対して県教委文化財保存課は解体(破壊)の方針をいったん取り下げると発表した。
再検討の結果がどうなるかはまだまだ不明だが、興福寺は創建時の瓦窯跡が知られており、今回の、再建時の瓦窯も特定できれば一段と歴史が明らかになる。半歩前進とは言えるだろう。
奈良県は、古墳時代、飛鳥時代、藤原・奈良時代の遺跡が膨大なため、他の県なら大騒ぎになるような貴重な遺跡が「なんだ中世か!」という具合に軽視される傾向があるが、有名な県立橿原考古学研究所を持っている県に相応しく、文化財破壊の開発推進行政をストップしてほしいものだ。
観光を否定するものでは全くないが、文化財で金儲けをしようとするのは邪道である。
世の中では革新や革命という文字面だけで共産党は歴史などに関心が薄いとの誤解があるが、奈良や京都で文化財・文化遺産の保護に一番熱心なのは共産党で、目先の金や利権に絡んでそれらを破壊しているのが自民党など与党派である。
歴史大好き人間は素直な眼鏡で事実を見てほしい。
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