2017年12月18日月曜日

ハレの行事

   柳田國男によって定義づけられた民俗学の概念にハレとケがあるが、餅つきは古くからハレの行事の代表ではなかったか。
 それはここの老人ホームの入所者の記憶の奥底にもそのとおりにしまい込まれていたようで、餅つきに参加したその顔は一様にハレの顔だった。

 今日は、私が手作りした発泡スチロール製の杵が大活躍をし、100歳超の入所者をはじめ、実に多くの方々が杵を振ってくれた。もちろん義母もリズミカルに杵を振ってくれた。この杵はそれらしい音が出るので臨場感は十分だった。
 平均的なケの世間では餅つきは近頃絶滅危惧種のようであるが、そう思うと折々にこういうハレの行事のある老人ホームはありがたい。
 来週はクリスマスパーティーもある。
 
   入所者が大きな声で「ヨイショ」と声を張り上げている主会場のドアの外で、その子供世代であるわが家族会の面々が薪カマドで暖をとっているのも考えれば可笑しかったが、主戦場ではわが息子(入所者の孫)が頑張ってくれていたからまあいいか。
 さらに夏ちゃんも小さな杵で何回も搗き、妻も「合いの手」をかって出て、わがファミリー総出で楽しんだ。

   合理的であるかどうかということで言えば、ガスコンロが手っ取り早く後始末の心配もないのだが、薪の匂い、蒸された米の匂い、少々の煙い煙・・わが世代以上の人間にとってはこれは胸がくすぐられるような懐かしさと高揚感を感じるものだ。

 つまらぬ自慢だが、新聞紙半頁とマッチ一本で即座に薪に火が点いたのには魔法使いのように周囲から感心された。
 猿もおだてりゃで、そんなに感心されるとやめられなくなってゆくので辛い。自業自得である。

4 件のコメント:

  1.  楽しいハレの顔、顔、顔が餅のカマドの煙の中からただ寄ってきます。この懐かしい香りは入所者のハレの顔を益々楽しくしたと思います。「夏ちゃん」達の「若い世代」の懐かしい香りになることを祈っています。

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  2.  まさに「ハレバレ」、若い世代が参加しているのが素晴らしい!2枚目の写真、長谷やんの座わる姿は隣のご老人と見事に同化して、薪カマドの煙で隠しても隠せないところがご愛嬌ですな。

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  3. おじいちゃん おばあちゃんの楽しい笑い声が 聞こえてきます。3世代 いえ 4世代の活躍も 目に浮かびます。お餅つきは何十年か前に 娘達とした事を 思い出します。ハレの日の色々な行事は いいですね。

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  4.  バラやん、ひげ親父さん、ミリオンさん、コメントありがとうございます。
     来年か再来年には、凜ちゃんが落ち着いたら長谷やんファミリーの餅つき大会を復活する予定です。夏ちゃんは記事のとおりスタンバイOKです。
     本文の餅つき大会ですが、施設が用意した分は善哉等にして入所者が食べました。家族会が搗いた分は参加者で楽しく食べたうえで施設の職員一同にお配りしました。善哉、あんころ餅、きな粉餅、大根餅でした。そして普通の小餅です。
     念のため申しますが、カマドの周辺に座っているのは入所者ではなくその息子たちです。お間違いのないように。

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