2017年12月5日火曜日

会計検査と証拠隠滅

   会計検査院は11月22日、森友問題の約8億円の値引きについて国会に、ゴミの深さは「十分な根拠が確認できない」、混入率については「算定方法に合理性はなく・・根拠が確認できない」、単価については「確認することができなかった」、全体として「会計経理が予算、法律、政令などに従って適正に処理されていると認められない事態があった」との報告を行い、証拠隠滅のために公文書を廃棄したという国交省と財務省を厳しく批判した。
 この報告は、本来なら内閣が倒れても不思議でないほどの重大なものだが、総理の酒席に侍るマスコミのペン先は鈍い。
 ちなみに石井国交大臣が公明党であることも特筆しておきたい。

 さて、その後のニュースなどを見ると、政府の公文書管理委員会委員長代理の三宅弁護士は「公文書保管に関する役人の意識がなってない」と指摘し、公文書管理法を主導した福田元総理や毎日新聞の岸井特別編集委員も同様の指摘をおこなっている。

 それについて私は、平均的なマスコミ以上の評価があるとは認めつつも、いつも少々的が外れていないかという違和感を抱いているのでそのことを以下に書く。

 違和感は、国交省や財務省の公務員が公文書管理についてほんとうに意識が低かったのだろうかということである。私の想像では『そんなことは全く考えられない』。

 公務員には度々大小の政治家から問い合わせや要望がある。
 あるいは、マスコミからの問い合わせもある。
 そういう日常の些細な事柄でも「言った言わない」が大問題になるから、こういう電話があった、こういう風に面談の上でやりとりがあったと証拠を残し、ホーレンソーのホー=「報告」を文書で残すのは公務員のイロハのイである。
 これをしておかないと無茶な揚げ足をとられた場合、対応した個人の責任になってしまう。
 だから、森友事件発覚時点では証拠は山ほどあったのは間違いない。断言する。

 次に会計でいうと、例えば会議に出したコーヒーの数は出席者名簿という証拠書類がないと支出されない。
 つまり、会計は徹底した証拠主義であるから、約8億円の値引きなら、その理論立てが無茶であっても(それはそれで大問題だが)証拠書類は絶対条件だ。

 会計検査院には「検定検査」というものがあり、検査院のHPから引用すると、『現金出納職員や物品管理職員、予算執行職員が、現金や物品を亡失又は損傷したり、法令又は予算に違反した支出などを行ったりして国に損害を与えた場合、会計検査院は、それが、善良な管理者の注意を怠ったことによるものであるかどうか、又は故意若しくは重大な過失によるものであるかどうかを審理し、損害の弁償責任の有無を判定します。これを「検定」と呼んでいます。
 会計検査院が弁償責任があると検定したときは、各省大臣はその職員に対して弁償命令を出さなければなりません』ということになっている。

 つまり、通常のケースでこのように証拠も残さず不当な値引きをした場合、国に損害を与えたとして会計職員と上司は個人として約8億円を弁償しなければならない。
 そんな危険なことを誰がするか。考えなくても解る話だ。馬鹿も休み休みにしてもらいたい。

 だとすると、官公庁の大原則、大常識を超えた「天の声」「神風」(籠池泰典証言)がそれを歪めたのは赤子でも解ることだ。
 売却交渉時、新小学校の名誉校長に就任していたのは安倍昭恵氏である。
 この件で財務省国有財産審理室長に面談して口利きし、その内容をファックスで籠池理事長に送信し、また手紙を送っていたのは、使用した公用封筒の差出人どおりにいえば、「内閣総理大臣官邸 夫人付 谷 査恵子」である。
 このように、「天の声」「神風」が官邸と総理夫人から出たものであることはすでに明らかだと私は思う。

 国会で取り上げられる情勢になってから、国交省や財務省は、証拠書類を隠したかシュレッダーにかけたのだろう。それは、役所、公務員の問題ではない。
 公務の大常識をはるかに超えた政治問題であることは明らかでないか。
 だとすると、先の公務員批判の論調は厳しく現状を批判しているようで、結局安倍晋三と昭恵夫妻の犯罪(これは犯罪でしょ)をぼやかしているように私には見えて違和感を覚えるのだがどうだろう。

4 件のコメント:

  1.  長谷やんの言われるとおりと思います。森友、加計学園問題は私も大変興味があり、「狂っている」としか言いようのない事実です。特に森友学園問題ですが国民の大多数が、「総理は説明責任を果たしていない。」と言っていますが、「今の時期、北朝鮮の核ミサイルが日本に打ち込まれそうな時に、小さな問題を国会で取り上げるな。」風なマスコミの論調に阻止されています。
     北朝鮮のミサイルも、地震災害も、経済政策も大変重要ですが、今年の流行語大賞の「忖度」問題も国の政治の在り方から、大変重要だと思います。
     非常に基本的な質問で申し訳ないですが、国有地を国が売却する際は、「公開公募で競争入札」が原則だと思いますが、森友学園の土地は公開公募されていましたか?教えて下さい。

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  2.  形式的には「公募」でしたが「公共随意契約」として内容は非公表であった。
     またこの土地は、2012年に大阪音大が「7億円で購入したい」と言ったが国は「9億円超でないと売れない」と断っていた事実がある。
     右翼の嫌いな韓国なら、大統領だって逮捕されるレベル以上の内容です。
     「腐っている」としか言いようがありません。

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  3. おっしゃる通り、私は今の日本は政治も、経済も、文化も「腐っている」「狂っている」としか言いようがないと思ています。
    腐敗菌は国民の意識に入って来ますから無意識にならないよう気を付けたいものです。
    腐敗菌をやっつける一つに現世利益でない真っ当な宗教心(宗教哲学)も必要と思っています。

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  4.  スノウさん、コメントありがとうございます。後段の「宗教心」も賛成です。自称科学的社会主義者ももっと心の問題などを語ってほしいと思っています。
     安倍政治に怒り、青年層の「保守化」に落胆するような話に終始していては楽しくありませんからね。

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