2026年7月9日木曜日

ご養子筋

    角川財団学芸賞受賞の上野誠著『魂の古代学=問いつづける折口信夫』(新潮選書)の中に『ご養子筋』という章がある。 
 ちなみに、折口信夫は、著名な民俗学者、国文学者、国語学者であり、釈迢空という名を持つ詩人、歌人である。優れた歌に与えられる迢空賞は第60回を数えている。

 それはさておき、大阪・木津の商家であった折口家は大阪でいうご養子筋であった。
 大阪の大店(おおだな)では実子の息子でも家業に馴染めないとか才覚がもう一つの場合は、身の立つように独立させ、暖簾は家つき娘が継ぐことになる。
 養子は、商家ならよくできた番頭、料亭なら一番腕の立つ料理人、医院なら次男以下の秀才から選ぶからお家は安泰となる。もちろん、何百年も前に分かれた親戚筋などということは論外だ。

 大阪の大店はこの「ご養子筋」が多く、「ご養子筋」は誉め言葉だというのである。
 折口家も大和や紀州から入った養子が代々を引き継いできたが、それでも折口家は大阪・木津の商家以外の何者でもない。
 かくいうわが家の過去帳でも丹波から養子に入ったりしているが、家としては大阪の元商家で、丹波とのゆかりは全く伝えられていない。
 これらは大阪の商家の優れた知恵であったのだ。
 昨今の皇室典範問題を聴くにつれ、何とも知恵のないことよという気分でいる。大店にはいとさんがいるではないかと。
 伝統の知恵に学ぶなら、大阪の商家の知恵など噛みしめても悪くはないはず。

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