2024年11月18日月曜日

民主主義者に問われているもの

    劇場型選挙だとか〇〇劇場などと言われてから久しいが、それを苦々しく「政治には理性が必要だ」などと批判してきた民主主義者が学習を怠っているうちに、SNS選挙は、失職した兵庫県前知事を復活させた。
 PRプロデューサー殿村美樹氏が『ブームをつくる』という本(集英社新書)を出版されたのは2016年1月で、ブームをつくるのも「科学」であることを説いていた。例えば氏は、予算のない香川県庁が「うどん県」をPRするのに、従来の記者発表ではなく、インターネット界のカリスマ・ブロガーたちを招いて大成功させている。30年以上前のことである。

 選挙でいえば、7月の都知事選挙で石丸氏が蓮舫氏を上回ったことに私は驚いたが、その原因は短い動画配信であった。告示から1週間で石丸氏のユーチューブは1億2千万回視聴されていた。
 10月にこの戦術を取り入れたのが国民民主党で、そして今回の兵庫県知事選の斎藤陣営であった。それはN党の応援という新戦術まで生み出した。
 ネットは悪い意味でも野放しのところがあるからフェイクニュースも多い。
 だから同様の汚い手を民主主義者も使うべきだなどとは全く思っていないが、今どきの若い有権者の少なくない人々は、新聞をとっていない。テレビ(ニュース)もあまり見ていない。ニュース(情報)はスマホつまりネットで得ている。
 マスメディアのエースとも思える東京新聞望月衣塑子記者が新聞やテレビを「オールドメディア」と語っているのにも驚いたが、そういうことだ。

 となれば、「ネットの情報を鵜吞みにするな」という情報もまたネットで拡散しないと何の意味もない。
 歳をとると前頭葉が劣化し、結果として新しいことに挑戦できなくなるという。
 だから少なくとも、民主主義者はネットに触れないことを自慢したりしてはいけない。
 また、私はあえて言うがオールドメディアもミニコミも大事だと思うから、そういうツールでもまた新しい挑戦を端から拒絶してはいけないと思う。
 そんな気持ちで今はミニコミ紙正月号に向き合おうかと思っている。

2 件のコメント:

  1. 兵庫知事選は邪道が正道に勝つというおぞましい結果になりましたが、孫子の兵法「敵を知り己を知れば百戦して危うからず」とあるとおり、正道であっても、相手をみくびっていては勝てないということですね。民度が低いと嘆いてばかりでは同じ轍を踏むことになります。SNSの謀略に何とか対抗していかなければなりませんね。

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  2. 弁英さん、おっしゃる通りです。人間得手不得手がありますし、「邪道」にいちいち対応するというのも不愉快ですが、「ネット上のワンフレーズは危険だぞ」ということだってネット上で語らなければ戦になりません。それを最初から「ネットは苦手だ」「ネットには触らない」というのは良くないと私は主張を続けているのです。

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