2021年9月3日金曜日

進めば極楽

   戦国時代の一向一揆の際、本願寺(今の浄土真宗や真宗)の門徒たちは「進めば極楽、退けば地獄」と書いた幟を掲げて戦ったが、故に本願寺が過激思想であったわけではない。・・・と、そんなことを考えてみた。

 アフガンがタリバーン主導で政権をつくるだろうことについて一番語られるのが過激思想、ジハード(聖戦)、自爆テロの恐怖のことだろう。

 一方、イスラーム圏には「インシャーアッラー」という言葉がある。「月曜日の昼に届けてください」「わかりました。インシャーアッラー」、「明日の朝10時にお会いしましょう」「うかがいます。インシャーアッラー」で、少なからず遅刻のいいわけに使われたりするらしい。「神様の思し召し次第なので神様のお力添えを願う」ということらしいが、この「ゆるさ」とジハードがどうつながるのだろうか。

 西谷文和氏の取材記事がある意味単純で一番わかりやすいかもしれない。
 ■ その日も、米軍戦闘機が2機、村の上空を通過していった。その日は、たまたまタリバーン兵が2人、村に潜んでいて、彼らが戦闘機にロケット弾を発射した。ロケット弾は当たらなかったが、米兵は攻撃を察知し、Uターンしてきて村ごと空爆していった。タリバーン兵の場所を探すわけでもなく、地上部隊が逮捕に向かうわけでもなく、村ごと焼いて、2人のタリバーン兵を殺すのに50人の村人が犠牲になった。生き残った村人は難民になり、親を奪われた若者が報復の戦線に加わっていった。■

 中村哲氏の話ににもこういうのがあった。出稼ぎで中東戦争に行ってきたという住民に「アメリカと戦ってきたのか」と聞くと「いやアメリカに雇われてだ」という話しだった。それから氏は医療よりも灌漑に軸足を移したらしい。

 アフガンも冬は凍りつく。村を焼かれ、凍りつくテントの中で飢える若者が「明日は吹雪だ。死ぬかもしれない。同じ死ぬなら爆弾を巻き付けて米軍と自爆してやれ」・・西谷氏は自爆テロをそう解説する。

 使い古された例えだが、『北風と太陽』の童話である。超大国アメリカは一貫して『北風戦略』できたのだが、それはことごとく失敗した。戦争でテロはなくせない。
 幸い日本自衛隊はアフガンで一人のアフガン人も殺していない(間接的には米軍の殺人に手を貸してはいたが)。ペシャワール会は診療所を再開している。世界がアフガン住民に生活支援を行うならば、きっと「ゆるい」社会が徐々に歩みを再開することだろう。政権交代で世界の中の日本が尊敬される日を夢見ている。

1 件のコメント:

  1.  アフガンやトルコ、イランなどでは、日本の憲法9条と、それからいろんな誤解が重なってはいるが日露戦争でロシアを「負かした」日本・日本人への好感度が高かったといわれている。しかし、大使館員が即逃げ出し、関係者出国のために戻りもせず(韓国の大使館員は戻った)結局、友人・知人たちを見捨てた日本政府は、誇り高いムスリムたちの軽蔑の対象になるだけだろう。

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