2021年9月27日月曜日

行基の廟堂

   二昔ほど前の言葉でいうと日本人はエコノミックアニマルと蔑まれていたが、先日から中村哲さんの本や斎藤幸平さんの本を読んできて、それは二昔前のことでなく、今真っただ中の日本人も変わっていないような気がする。 

 少し以前のことだが、「共産党が歴史や伝統を大事にすれば世の中が変わるだろう」と言った「知識人」がいたが、この人の理解は古いステレオタイプ、・・というよりも大きな誤解があると私は思った。 

 個人的な趣味だが私は古代史が好きである。住居表示ではなく「奈良文化圏」に住んでいる。なのでどうしても重要な古代遺跡や遺物を大事にしたいと思い『なら歴史遺産市民ネットワーク』にも参加している。

 で、古都奈良の歴史遺産だから少なからず天皇(大王)や豪族の遺産が多くなる。そしてそういう歴史や伝統を保存し大事にしようと運動しているが、それを鼻で笑って「開発」や「観光資源」のためにブルトーザーで破壊を進めているのが自公政権やそれにつながる保守的な自治体行政である。何が保守か? 保守を名乗るなら歴史や伝統に敬意を払え!と、大きな声で叫びたい。

 先の「知識人」への回答だが、それは誤解ですよ、歴史や伝統を守れと必死に運動しているのが共産党や市民運動で、それを踏みにじっているのがニセ保守ですよ。 

 この5月、平城宮大極殿の西、行基ゆかりの喜光寺(菅原寺)を見下ろす丘陵上に奈良時代の八角堂の遺跡が見つかった。行基年譜にある『長岡院』・・行基の廟堂と考えられる。大極殿から見て東の興福寺の北円堂(写真)が藤原不比等の廟堂であるのに対にして西の行基の廟堂跡である。 しかし残念ながらコロナ下で大きな運動に拡がらないまま住宅開発のため破壊されたようである。 

 こんなにすごい遺跡が検討もされずに破壊されていく日本の文化行政はこれでいいのだろうか。何か日本人であることが恥ずかしいような気分になる。

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