23日の朝刊に岩波現代文庫の広告があったので、手持ちの本の奥付を見るとこの9月15日(文庫化)第1刷発行とあった。新刊広告よりも前に購入したというのは少々気分が良い。何も理由はない。
澤地久枝氏は丁寧に生い立ちから聞いている。
中村哲氏は小さい頃母方の実家で育ったが、母の父母つまり祖父母は北九州若松港の玉井金五郎とマン夫婦であった。玉井金五郎は背中一面に彫り物のあった『花と龍』の主人公であり、その長男(つまり母の兄)が火野葦平であった。
父は元々大正期からの社会主義者で、母とは『花と龍』の港湾労働者のストライキで知り合って恋に落ちた。任侠の金五郎とは「弱い者いじめが許せん」というような男気で共感していた。父は玉井組の下請けの中村組をしていたが倒産し、転居し極貧生活となるも常に十数名の居候がいるという環境だった。
…アフガンの中村哲氏についてはいくつも読んだりして知っていたが、この生い立ちの話や火野葦平の話はゾクゾクするように面白い。なるほど中村哲氏の胆力のルーツはそこにあったかという気持ちがする。興味のある方は購入してお読みください。
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