2020年12月14日月曜日

Go To と正常性バイアス

   「正常性バイアス」が語られてから久しいので周知の話ではあるが、念のため復習しておけば、それは心理学で使用される用語であって、人が予期しない事態に直面したとき「ありえない」という思い込み(バイアス)が働き、起きている事態を正常な範囲だと自動的に考えてしまう心の働きのことである。

 もしかしたら、「悪い可能性を語ったりしたらよくない結果になるかもしれない」という言霊思想も裏にあって、経験したこともない非常事態であるにもかかわらず、「心配ない」と信じたい要因を過度に取り入れて、「自分に大きな危険がふりかかるわけがない」「他人に大きな危険を与えるわけがない」と思い込むことでもあろう。人は「都合の悪い情報」を無視するものなのである。

 新型コロナでいえば、「インフルエンザの死亡者数に比べてたいしたことがない」「アジア人はかかりにくい」そして何よりも「政府がGo To を推奨したのだから山は越した」というような、冷静に考えれば科学的でも何でもない「言霊」に吸い寄せられて・・・今の医療崩壊の一要因を作ったのではないだろうか。もちろん、主要な原因が新自由主義を妄信する政府や少なくない自治体の政治にあることは言うまでもないが、ひとり一人の市民が「自分は今正常性バイアスで見ていないか」と自問することも大事な気がする。

   こんなことを言うと一般市民を馬鹿にしているのかと叱られるが、世論というものは往々にして正常性バイアスに誘導されるような気がする。となれば、それを織り込み済みで政治はメッセージを発信しなければならず、メディアは言葉を慎重に選択しなければならない。それはノブレス・オブリージュではないが、それだけの影響力のある立場の責任である。

 そういう意味で、ウイルスは自然災害だが医療崩壊は人災である。特に大阪の状況は維新による人災と言って間違いない。

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