2020年12月16日水曜日

弁証法的世界観

 15日付け赤旗に鰺坂真先生の『ヘーゲル生誕250周年に寄せて』という寄稿が掲載されていた。

   印象に残ったホンのひとつまみの部分を紹介すると、ヘーゲルは終生フランス革命を「理性の夜明けだ」と考えていた。ヘーゲルは弁証法的世界観の最初の最も包括的な叙述を試みた。しかしヘーゲルは「絶対理念」という観念的実体が自己実現していくという観念論体系として叙述した。ヘーゲルの弁証法の合理的な核心を唯物論的に改造したのがマルクスとエンゲルスだ。後にヒトラーのファシズムの源流はヘーゲルだとする誤解が広まったが、ファシズムの源流は「反理性主義」だ。ヘーゲル哲学は再評価されるべきだ。・・というものだった。

 はやぶさ2が小惑星の砂を見事に持ち帰った今日でも、頭の上には天国があるだとか、世界は神が造っただとか、地球も社会も不変だとかという論があるが、ヘーゲル先生は笑われているに違いない。

 10年以上前の本だが『マルクスは生きている』平凡社新書の中で不破哲三氏はこう述べている。 ■ マルクス、エンゲルスは弁証法の方法の最も中心的な内容として次の諸点を重視した。

 自然と社会の全ての現象を、不動な固定的なものとしてとらえる立場をしりぞけ、それらをたえまない変化と運動、なかでも前進的な発展の流れの中でとらえること。

 全ての事物、全ての現象を、孤立したものではなく諸事物、諸現象の全般的な連関の網の目のなかでとらえ、一見バラバラに見える事象のあいだのどんな連関も見逃さないこと。

 自然と社会の発展の過程には、多くの対立や矛盾、主流と逆流などが必然的にふくまれているものであり、さまざまな事象を一面からだけ見る単純化は警戒しなければならないこと。

 自然でも社会でも、その発展過程の分析にあたって、量的発展と質的発展のあいだの相互転化、否定の否定、対立物の統一と闘争(あるいは相互転化)などの諸法則とその現れを注意して追跡すること。これらの法則は、事物の運動と発展の重要な特徴をなしているから。■

 長くなるので止めるが、不破氏は日本のノーベル賞受賞者の中で素粒子論の物理学者が一番多い理由として、日本の素粒子研究の中に、唯物論と弁証法の力強い流れがあったからだと詳しく説明しているところなどは面白い。

 高校生のとき、学校の図書館で弁証法の分厚い本を読んだことが懐かしい。

1 件のコメント:

  1.  12月8日に釈迦の教えを書いたが、諸行無常、諸法無我 は、まさしく弁証法ではないかと思われる。私は唯物論者の仏教徒である。

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