白河院、法勝寺つくらせ給(たまい)て、禅林寺の永観(ようかん)律師に「いかほどの功徳なるらん」と御尋(おたずね)ありければ、とばかり物も申さで、「罪にはよも候はじ」とぞ申されたりける。(続古事談)
(白河院は法勝寺を造営なさって、禅林寺の永観律師に「どれほどのすばらしい功徳になるだろうか」とお尋ねになった。永観律師は一瞬言葉につまったが、「少なくとも罪にはならないでしょう」と、お答えになったということである)本郷恵子著『怪しいものたちの中世』角川選書
さすがに永観律師、白川法皇に対しては「バ~カ!」とは口に出せなかったのだ。 瞬く間に世界中に拡散されて失笑の渦を巻き起こしたニッポン国総理大臣が下賜してくださる布マスク2枚。
「ウイルスはブラウン運動をするから布マスクでも捕獲できる」という主張を否定も肯定もできるほどの知識はないが、私の感覚でいえば、ウイルスの小ささとマスクのメでいうと布も不織布も、医師用のものでない限り五十歩百歩でないかと思っている。
つまり、ウイルスの侵入阻止といえばどちらも不合格だが、『咳エチケット』という意味では全く無意味であったりマイナス作用ということはないのではないだろうか。
ということで、『罪にはよも候はじ』という言葉が脳裏に浮かんだのだがチト誉めすぎだろうか。
いや、首相はオカルト的な信仰がお好きなようであるから、「笑えばコロナはうつらない」的な信念から、全国民を布マスク2枚で嘲笑(わら)わせてコロナに勝とうとしているかもしれない。
それならと、こちらも花粉症バッジで対抗して笑い飛ばそう。
「ほんとうのコロナ感染者が着けていたら混乱する」などのお叱りもありましょうが、あまりに鬱々としたニュースの洪水の下で、これくらいのジョークは許されよ。
私は決してコロナの局面を軽視はしていない。
だから全面的に外出は自粛してこんなジョークを考えているのだが、副作用として今年は花粉症が少々軽く経過している。功徳であろう。
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