2019年4月19日金曜日

玄関から旅立つ

 昨日の介護施設の続きを書く。
 先日の統一地方選挙前半で、「家で死ねる街」というキャッチコピーがあった。
 非常に面白い提起であった。家族を包む地域のコミュニティーでそんな街を作って行きたいという政策と理解した。
 ただ、2030年問題を目前にして、私にはなかなか具体的イメージが固まらなかった。
 ズバリ言うが、家庭介護のどの部分を地域、つまり隣近所でカバーできるだろうか。
 ほんの一部、言い過ぎかもしれないが上っ面以上のカバーが正直想像できなかった。
 さらに、その政策の善意は理解するのだが、結局、「家庭介護が幸せ」、「施設入居は不幸」というような古い観念を助長し、「ポストの数ほど特養を!」という要望に水を差し行政の責任を免罪しないかとも心配した。前説おわり。

 先日、私の義母が入居している特養で亡くなられた方のご家族の話を聞いた。
 その方曰く、「葬儀社の方が、いろんな場所に伺うことがあるが、こんなに心のこもったお見送りは知らない」とおっしゃったということだ。
 実は以前に、私の実母も、参加できる限りの入居者とスタッフに送られて、お別れの会を経て玄関から送り出していただいた。
 そのときはそのことの良い意味での”特異さ”に気が付かなかったのだが、多くの病院や老人施設ではそうではなく、できるだけ「人目を避けて」裏口から出ていくということらしい。確かに、病院の玄関で、亡くなった方のお見送りはふさわしくないかもしれない。それも解る。
 だから、堂々と?玄関から旅立たせていただいた施設に感謝する。
 そもそも入居のときに、そのときはそんなものかという程度にしか理解していなかったが、他の人のお見送り用に黒い服等もできるだけ用意しておいてほしいといわれていた真意がようやく理解できた。

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