2018年11月9日金曜日

原初の神

 平成も終わろうかとしているが、平成の初め頃『探偵ナイト・スクープ』に、各方面から激賞された『全国アホ・バカ分布考』があり、後にプロデューサーであった松本修氏が本にしたのは有名なことである。
 それは、遠く柳田國男の『蝸牛理論』を証明し、乱暴にまとめて言えば、日本列島の遠い地の言葉(方言)はそれだけ古い時代の京(みやこ)の言葉であったというものであった。

来訪神?パーントゥ
 先日、春日大社であったシンポジウムでパネラーが「琉球諸島の宗教は本土の宗教(神道)の原初の姿だ」と述べたのを聞いたとき、その「アホ・バカ分布考」を思い出して非常に納得した。

 シンポジウムでは沖縄の神々についてそれほど突っ込んで議論されなかったが、帰ってから折口信夫の『古代研究 民俗学篇』の「琉球の宗教」という一篇を読み、さらに納得した。

   ついでといえば失礼だが、窪 徳忠著『沖縄の民俗とそのルーツ』をめくってみると、「フィンブン」が出てきた。
 沖縄の家屋の入口の前の壁である。
 石積みやセメント製のものが私の記憶に強くあり、私は「さすがに沖縄は台風直撃の島である」「立派な強風除けの壁だろう」と今の今まで信じていた。
 それが本によると、悪鬼・悪霊を防ぐ影壁・照屛で、中国から東南アジアに広く広がる信仰だということが解って、少々目から鱗の気分である。

 当たり前といえば当たり前だが、世の中知らないことばかりである。
 そして戦前の国家神道が、如何に日本列島の宗教の伝統とは異質な、あだ花であったかということが再認識される。

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