2018年11月22日木曜日

過労死落語を知ってますか

   11月23日が大阪道修町(どしょうまち)少彦名(すくなひこな)神社の神農祭であることは昨日書いたが、近頃では勤労感謝の日に重ねて『過労死防止の日』となりつつある。
 厚労省も「毎年11月は過労死等防止啓発月間です」と後押ししている。
 掲載のポスターを駅等で見られた方も少なくないだろう。
 これは非常にいいことなので、どうか拡散していただきたい。

 桂福車、松井宏員著『過労死落語を知ってますか』(新日本出版社)が発刊された。私は発刊日に購入した。
 この過労死落語を最後に見たのは昨年の11月の奈良だった。
 そして今、当の福車師匠も、そして主催者側の中心であった「働く者の命と健康を守る奈良県センター」事務局長であった親友・谷山義博氏も半年もせず若くして鬼籍に入られた。なので表現のできない複雑な気持ちでこの本を読んだ。・・それはごく個人的な感情。

   落語は進んで・・過労自殺した青年の亡者に向かって閻魔の庁の青鬼が、「お前『黙示の指示』を知らんのか?」
 亡「なんです、モグリのすし屋?」
 青「終わるはずのない仕事のため残ってるのを、上司は見て見ぬふりをして『残業せずに帰れ』と指示しなかったら『黙示の指示』や」
 亡「何回か『休みください』と言いに行ったんですが・・」
 青「鬼やなー。労基法39条に『時季変更権』は確かにある。しかしなあ、それはタイガースがあと1勝で優勝いうときに、福留や鳥谷が『よみうりランドに家族連れて行くので休みください』言うたら金本監督キレるやろ。そういうときだけや」
 と落語は続く。

 そんな台本作者の小林康二氏も偉いし、過労死・過労自殺というような深刻な社会問題を『文化』=『落語』に仕上げた人々も偉い。

 私は自分の職業歴と重ねて少し重く読んだが、この本自身は楽しくて笑いも多い。
 憲法漫談で 小林「日本は兵力不足で戦争なんかとても無理とちゃいまっか」
 アベ「名案がある。65歳以上を徴兵する。年金財政も安定して一石二鳥や」 では「もしかしてそんな悪夢もありかも」と笑い転げた。

 11月は厚労省の推進する「過労死等防止啓発月間」だ。
 是非ともこの本を買い求めてお読みいただきたい。税別1300円。

 私自身はこの本で、「メッセージの伝え方」「心に届くメッセージ」について深く考えさせられた。自覚的な民主主義者必読のテキストだ。
 「むつかしいことを・・・・・ゆかいに」。井上ひさし氏も悶えていたのだろうな。きっと。

4 件のコメント:

  1. 東海林 智2018年11月25日 6:25

     (FBから)この本を執筆した毎日・大阪の松井さんは、僕が大阪社会部にいた時の先輩です。大阪人らしいユーモアのある文体で、新聞記事を読んで大笑いしました。こんな風に記事を書ける記者がいるのだなと思いびっくりしました。大阪・毎日の名物です。その人の手による本だし、この内容、買わないわけにはいかない(僕は松井さんから贈呈されましたが、たくさん求めて頒布しようと思ってます)。

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  2.  (FBから)私も遠距離通勤ブラス平均3時間残業で、睡眠時間が多くて5時間で、いま思いば過労死寸前でした。メンタルケアで、休日には通院してまました。福島原発事故もありで定年延長ももなく退職。ある意味死なずに済みました。このジャンルのかたの執筆本。失礼ですが意外です。福車さん松江さん是非多くの方に知って頂けることを願っています。

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  3.  たくさんの方々から転載したフェースブックに「いいね!」をいただきました。皆さんありがとうございます。

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  4.  FBから、・・本日、1冊購入し読み始めました。大津(桂福車)君は高校のクラブの後輩(ということは落研です)で、めずらしくプロになりました。私が知らないうちに小林さんの笑工房の噺を携えて各地をまわっていると聞いて、うれしく思ったのを思い出しました。亡くなる前年の年末に昔仲間といっしょに飲んだとき、いつものようにちょっとやんちゃな大津君は、先輩からいじられてかわいがられていたのがつい昨日のようです。急な訃報に接し大変残念です。ご冥福をお祈りします。

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