もずが枯木で泣いている
おいらはわらをたたいてる
綿びき車はおばあさん
コットン水車もまわってる
みんな去年と同じだよ
けれども足りねえものがある
兄さの薪割る音がねえ
バッサリ薪割る音がねえ
兄さは満州へ行っただよ
鉄砲が涙に光っただ
もずよ寒くも泣くでねえ
兄さはもっと寒いだぞ
昭和10年、サトウ・ハチローの詞である。
「貴様!この非常時に何たる軟弱な歌詞であるか!」と問われれば、「泣いているのはもずであります」「自分は兄さを思えば泣くでねえともずを叱ったのであります」(鉄砲が光ったのももずの涙?)とサトウ・ハチローは言ったのだろうかという趣旨の別所実氏の文章に接して、笑いながら感心した。
そして、安倍首相をはじめ閣僚の全員が、聞かれたことに答えない、論点をすり替える、言い逃れを繰り返す、言葉尻を捕らえる等等々、はぐらかしと答弁拒否とご飯論法のことを思った。
ただただ「寒い」というようなつまらない感情で泣いたとされたもずこそいい面の皮である。
彼の名誉のために付言すれば、ドスを聞かせて縄張りを宣言し、侵入するものには容赦しないぞ!と鳴いているというのが定説とされている。
わが庭で雀を襲っているのを見たこともある。
決して泣いたりはしていない。
泣いているのは兄さであり、おいらとおばあさんである。当たり前である。
「いや、泣いているのはもずだ」というのは官邸周辺の論理であろう。
猛禽の矜恃高鳴く朝の鵙
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