2025年12月5日金曜日

12月4日のテレビを視ていて

    長い間、ほんとうに何十年もの間も、朝は時計代わりにABCの「おはよう朝日です」をつけているが、だいぶ以前からニュースの解説の切れが鈍っていて面白くなくなっている。 
 つまり、政権が発表した説明のスピーカーに思えることが多い。
 12月4日の朝日新聞朝刊のトップ記事は、「旧姓の通称使用法制化へ」「首相私案軸に」「別姓導入機運失う恐れ」で、早い話が「選択的夫婦別姓制度導入潰し」の指摘があったが、テレビでは、「通称使用に法的根拠が出来てよい」とか「別姓では親と子の姓が異なって家族の一体感が喪失されるという意見もある」などと、政権にすり寄っているような解説が続いた。特にメーンのアナウンサー。

 これについては、「国際的に活動されている女性の学者や経営者からも切実な要求がある」「選択だから選択しない者には影響はない」「現にアイデンティティーを尊重したいという要求もある」という現実を顧みず、「虎に翼」で指摘があったような「結婚した女性は無能力者」とした家父長制を目指すものでよいのか」というまともな指摘がテレビからは聞こえなかった。
 そんな中、コメンテーターのレイナさんにアナウンサーが振ったところ、レイナさんは「うちは国際結婚ですから別姓です」と当然の回答。それならメーンアナ、それまでの解説の流れからすれば、「それは大変で子どもが可哀相ですね」と言ったらどうか?!!
 世界中で夫婦同姓を法律で縛っているのは日本だけだとか。
 世界中で家庭は壊れているのだろうか。
 この番組、近頃解説の切れが鈍っているというよりも、長いものに巻かれようとしていませんか? レイナさんは堂々としていた。

2025年12月4日木曜日

謎の円墳見学会

    奈良市の富雄丸山古墳見学会に参加した。
 時代は発掘された須恵器の年代測定等から4世紀後半、ということは百舌鳥古市古墳群築造の前夜。
 場所は後年の難波の津から大和に向かう暗峠(くらがりとうげ)越え奈良街道で奈良盆地に入ったところ。北東には遠くなく佐紀盾列古墳群があるので同古墳群の西の端と考える説※もある。
 日本最大級直径109mの円墳で前方後円墳ではない。
    近年墳頂部ではない「造出し(つくりだし)」部分から割竹形木棺、世界最大の蛇行剣(だこうけん)や前例が知られていないような鼉龍文盾形銅鏡(だりゅうもんたてがたどうきょう
)、さらに3面の銅鏡などが発見されている。
 墳頂から西を向くと生駒山(暗峠)、東を向くと若草山が望め、古墳の立地条件としては特等席に感じられる。
 造出し部分は形を留めていて、パンフレット等で見た出土品の出土状況がリアルなほどに想像できた。埴輪の破片や葺石も積み上げられていた。
    出土品の整理や墳丘の復元などが完成するのは10年以上先と思われるから、頭の中でバーチャルメガネのように組み立てておこう。

※ 「佐紀盾列古墳群の西の端」という説には魅力を感じている。その訳は、
1 北北西直線距離2.5kmのところに添御縣坐神社があり、この辺りは添の縣の可能性がある。
2 佐紀盾列古墳群の一画にも添御縣坐神社がある。
3 佐紀盾列古墳群の古墳は大王クラスの古墳群である。
4 富雄丸山古墳は最大の円墳である。
5 主要である墳頂ではない造出しから出土した銅剣や銅鏡は類例のない立派なものである。
6 これらのことから、単なる有力首長(豪族)以上の人物が墳頂に埋葬されたと考えられる。



2025年12月3日水曜日

ニッポン辺境を思う

    「中央アジア紀行」
著者の白石あづささんがカザフスタンの首都アスタナに行ったときの話。アスタナは1997年に遷都した若い首都で、高層建築や世界中の名建築まである、まったくの未来都市らしい。
 この都市を設計したのが故黒川紀章氏で、その中にある、まるでリゾートホテルのような広大で立派な大学の初代学長は勝茂夫氏(元世銀副総裁)だという。
 そして著者が「意外だったのはこの街を設計したのも有名大学の学長も日本人、同じ国の人が活躍しているのは嬉しいですね」とカザフツーリズムの女性社員に言うとケタケタと笑われたという。
 彼女の言うのには、「私たちは普段173の民族とともに暮らしています」と、同胞である「日本人」の活躍に喜ぶ私の方がおもしろいらしい。
 では国ではなく民族がアイデンティティーなのかと聞くと、「そういう感覚は私たちにはないですね」と首を傾げた。
 他民族が好き勝手に移動したシルクロードの面目躍如と言ったところだろうか。
 そしてそれは世界の例外ではなく、どちらかというと、日本列島こそが「地球儀上」の例外つまりは「辺境」ではないかと大いに考えさせられた。
 「中央アジア紀行」という一冊の本や、白石あづさという一人の人間の感想を絶対のように語るのは正しくないだろうが、何かハッと考えさせられるレポートであった。近頃のネット上のヘイトスピーチを思って、なぜか恥ずかしくなった。

2025年12月2日火曜日

日中経済のリアリズム

    ネットの世界やテレビのワイドショーなどでは「中国に舐められるな」「中国は明日にでも攻めてくる」みたいな発言が目につくが、一方、テレビの普通のニュースを見ていると、イオンが中国内陸部
湖南省の省都長沙市に大型ショッピングモールを開業したことを報じていて、映像では、混乱などなく大勢の地元客が買い物や食事を楽しんでいた。
 共同通信によると、新店は「イオンモール長沙湘江新区」で、延べ床面積は236千平方メートル。「ユニクロ」や「無印良品」といった小売店に加えて、映画館やアミューズメント施設などを誘致し、一日楽しめるよう工夫した。長沙では夜間の消費活動が活発で、未明まで営業する一角も設けた。・・ということらしい。
 映像の限りでは、日本では珍しいほどの充実ぶりだった。
 もちろん日本と中国との経済関係では多くの競争・競合もあるが、このように切っても切れない隣国同士である・・・ということを直視することがリアリズムで、歴史の時間でいえば一時(いっとき)の格差を鼻にかけて、仲間内のウケを狙ってエラそうにふるまうのは小児病だと私は思う。
 自国を卑下する必要はないが、夜郎自大は見苦しい。

2025年12月1日月曜日

品種改良

    キュウリは「
黄瓜」が語源だという説もあるが普通には「胡瓜」とされている。
 古く中国ではシルクロードに関わることごとを「胡」と言ったので、胡とはペルシャだと言い切るのは正確ではない。
 事実、キュウリの故郷はインド北部からネパールのヒマラヤ地方らしい。
 そういえば暑さにもけっこう弱く、7月中に枯れさせたことも何回もある。それが今年は8月にもけっこう収穫できたのは苗がよかったのか、風通しに気をつけた農夫(私)がよかったのか?
 その8月下旬に「11月にも収穫できる」と書いてある苗があったので一つだけ植えてみたところ、写真のとおり11月30日現在も実ができている。まだ小さな実がいくつかできているが大きくなるかどうかはわからない。
 本には「13℃以下になると著しく生育不良となる」と書かれている。
 それにしても、露地でキュウリが12月に採れるとは思ってもいなかった。品種改良のおかげだろうか。 

2025年11月30日日曜日

初忘年会

    日本経済を支えておられる勤勉な皆様方には申し訳ないが、先日は昼間から今シーズン初の忘年会に参加した。 
 集合はいつもどおり奈良の行基菩薩前。
 そこでの印象は、見事に普通の観光地に戻った普通に賑わった人通り!
 ひと月に最低1回は奈良を訪れている実感からすると、少なく見積もっても半分以下に減っていた。いやもっと少なかった。
 京都あたりではインバウンド公害が少し解消してよかったなどという声も噂では聞かれるが、奈良に限っては観光関連業界へのダメージは小さくはないだろう。
 それもこれも「奈良の女」とのたもうた首相の責任。中国人観光客の激減。
 おかげで?東向き商店街も普通に通行できたし、有名な餅つきの店の前の渋滞もなし。
 近鉄駅の女性トイレも・・・・といってもここはけっこう外まで並んでいたが。
 「この程度でよいから奈良で一泊してくれたら」というのが算盤上の願いらしいが、ほんとうに夜のお店は少ない。これには我われ飲み助も不満がある。
 宗教都市であって観光都市、さてどうしましょう。
 「では好いお年を!」と言って楽しく別れたまだ11月。

2025年11月29日土曜日

熊鈴つけて

    先日は紅葉の箕面の滝道にハイキングに出かけた。
 ズーっと昔のことだが、この道にも猿が頻繁に出没していたときがあった。
 猿には相当な知恵があり、弱そうに見える女性や子どもを襲い、カバンの中のお弁当やお菓子を取り出して食べていた。乱暴狼藉という感じであった。
 私はそのとき捕虫網を持っていたからそれを振り回して何人かの人々を助けてカバンを奪い返した。
 滝から先、勝尾寺に向かう道の柵にはさらに屈強そうなボス猿などが睥睨していて、睨みあいになったときには相当な迫力だった。睨みあいになってからは変に弱気になると襲われるのでチキンレースのようなこととなった。私も若かったからとりあえずは負けなかった。ただ正直恐怖感はなくはなかった。
 箕面にそういう状況が生まれた最大の原因は行楽客の些細なエサやり行為だったので、エサやり禁止の徹底と職員?が棒をもって猿を山へと追い返して現在のように安全なハイキングコースになった。
 昨今の熊出没の教訓になるだろうか。

2025年11月28日金曜日

QRコード作成に苦労する

    以前に全く同じ右往左往をしたが今般も動画をQRコードにするのに悩んだ。
 年賀状にQRコードを埋め込んだり、それ以降も何回か作ったことのある作業だが、悲しいかなその手順を思い出せない。
 ずっと昔にはもっと簡単にできていたように思うが、ネット世界でいろんな不正が起こったことで難しくなったのかもしれない(ただの想像)。
 簡単だったアプリをよう探さなかったからかもしれないが、とりあえず現在一番簡単そうなアプリは「動画のURL」を元にQRコードを作成するというもので、とりかかってみようとしたが、動画にURLを付ける・・動画のURLを見つけるという初期の段階で引っかかってしまった。さて以前はどうしてURLを付けたのやら。
 結局解らないのでPCのビデオに保管しておいた動画を You Tube の「+作成」で呼び出して、その作業で生まれたURLをQRコード作成アプリに使って作成した。
 もっと簡単な方法があるかもしれないが、今のところはこれで我慢しておくことにする。
 そんな作業のために友人から送ってもらった動画(のQRコード)を掲載する。これは箕面の昆虫館。

2025年11月27日木曜日

紅葉は箕面の滝

 
    秋の三連休の直後のウイークディなのに、予想に反して箕面の滝道は行楽客でいっぱいだった。
 事実、帰りにモミジの天ぷらを購入しようとするとどの店も売り切れで驚いたが、もしかすると少し前のテレビ番組で紹介されていたせいだろうか。それとも・・・
 抜け目のない我われは歩き始めの朝にゲットし証拠写真もパチリとして、シャッターを押していただいたご夫婦にもお裾分けをして喜んでいただいた。手に持っているのがモミジの天ぷら。
    途中美しい紅葉にたびたび出くわしたが、それは当然のことだったので報告はスルー。
 下山後箕面駅の相当先(滝の反対側)のお店で無事の下山を祝って祝杯を挙げたが、そこの店主の曰く、昨夜はこの辺りまで煙やすすが飛んできて大変だったとか(滝のすぐ横の茶店が全焼したのだった)。
 山を越えてきたハイキング本隊の強者とは滝で合流したが、その強健ぶりには脱帽。
 珍しい元気な報告でチャンチャン!

2025年11月26日水曜日

首相のホンネは

    2020年の学術会議会員任命拒否事件の際多くの学術団体が抗議声明を発表したが、主として奈良時代以前の文学を研究する「上代文学会」の抗議声明は次のような文章で閉じられていて非常に印象的だった。
 『前政権(安倍政権のこと)以来、この国の指導者たちの日本語破壊が目に余ります。日本語 には豊かなコミュニケーションを担う力が十分備わっているのに、見せかけの形式に空疎な内容を盛り込んだ言説が今後も横行するなら、日本語そのものの力が低下してしまいます。日本語の無力化・形骸化を深く憂慮します。頼むから日本語をこれ以上痛めつけないでいただきたい。』
 さて、この22日、23日に毎日新聞が世論調査を行ったが、内閣支持率が56%と高いまま、台湾有事発言も「問題ない」が50%という結果を見て、「日本語そのものの力の低下」を感じるのは私だけだろうか。
 いわゆる台湾有事発言は、自衛隊への出動命令権を持つ首相が、台湾南部の海上で戦争状態が生まれれば自衛隊員に派遣命令を出し、人の殺し合いを命ずるというのが「存立危機」という言葉の本質である。
 アメリカの戦略国際問題研究所のシミュレーションでは、いわゆる台湾有事の際、米軍に10,000人の死傷者が出、中国軍に22,000人の死傷者が出るとしている。その場合、自衛隊員だけが死傷者0人ということがあるだろうか。
 もっと言えば、在日米軍基地や自衛隊基地からミサイルでも発射するなら、海外線に50基もの原発を並べたこの国の国民は無傷でいられようか。・・目を覚ませ!
 ことの本質は、これが日本国憲法の三大基本原則・国民主権・平和主義・基本的人権の尊重、という下で放った首相の国会答弁であることだ。
 他国への敵意と熱狂をあおり、自身の「強さ」を表現して支持を集めようとする政治の向こうには破滅が待っているというのが歴史の教訓だ。

2025年11月25日火曜日

USB-HDD

    20数年前に購入した古いテレビなもので外付けの録画機器(ハードディスク)を使っている。USB=HDDだ。それが突然上手く動かなくなった。 孫の凜ちゃんのためにEテレの「にほんごであそぼ」がいっぱい入っていたし、今後も録画してやりたいから、この不調は大変なことになった。
 その機器が悪いのか、ケーブルが悪いのか、それともテレビ本体が故障したのか、あるいはちょっとした接続不良なのか解らないが、なんとなく機器本体らしいと感じたので家電量販店に行ったところテレビの機種によって機器が変わるということで出直した。
 そうしてようやく購入した機器を家でセットしたが思うような表示がされず録画もできなかった。店員は画面の表示に従えば接続できると言っていたがそれらしい表示が出ない。
 20数年間放ったらかしのテレビの裏や、昔々いろんな機器を接続したコードを眺めても、もう何もかも忘れていて解らない。
 あれやこれやした後、テレビ側のそれらしい箇所を見つけ、ようやく初期化にたどり着きやっと復旧したが、正味半日仕事であった。妻は「業者に頼らずようやった」と褒めてくれたが、私としてはなんとなく歳を感じた一日だった。

2025年11月24日月曜日

軽み

    五木寛之著『遊行期』に"なるほど”と感じた部分があったので記録しておく。
 🔳 蓮如の言葉の中に「人は軽(かろ)きがよき」という名言があります。年をとるにしたがって重厚にゆったりしていく、という老化の道もあるでしょう。けれども、最後まで軽薄なぐらいにちょろちょろしている。それも一つの望ましい老化のあり方ではないでしょうか。
 ちょっとC調なぐらい軽やか。これはすごく大事なことだと思います。
 日本では「あの人は貫禄がある」とか何か重々しいほうがよしとされるけれども、私はむしろC調、軽薄のほうを大事にして生きてきました。
 ・・・周りと調和しているボケ。そういうものに達するためには、それなりのこころ配りや努力が必要でしょう。
 それを強制や義務感でなく、楽しみながらおもしろがってやっていく。そのためにも「重さ」ではなく「軽さ」が大事だと思うのです。🔳
 昔大先輩から「芭蕉晩年の俳句の好さは軽み(かろみ)だ」と教えられたが、そうなのだろう。・・てなことを書いているうちは軽くはない。ハイ。

2025年11月23日日曜日

喪中はがきの季節

    木枯らしとともに喪中はがきの季節がやってきた。
 古代ギリシャの哲学者は「万物は流転する」と語り、釈迦は「諸行無常」と喝破した。とはいえ別れは辛く悲しい。
 鬼子母神は一説では500人の子がいたがその末子一人が居なくなっただけで半狂乱となった。それほどに別れは辛い。
 それぞれの喪中はがきの差出人にお悔やみを申し上げたい。

 さて、喪中はがきの中には「君の賀状は励みになるので気にせず送ってくれ」というのがあった。お世辞にしても嬉しいので、例年どおり投函しようと思う。

 12月になると新聞の投書欄に「年賀状は直筆がよい」というような投稿があったりする。悪筆の私には耳が痛い。
 思うに、印刷であろうが直筆であろうが手段なのだから、要は心を込めて作成すればよいと思う。
 実際戴く年賀状は、随筆風、版画、絵手紙風、写真等コラージュ、文芸作品等々多様で楽しい。決して虚礼などとは思えない。

2025年11月22日土曜日

百戦錬磨

 
    松下憲一著『中華とは何か――遊牧民から見た古代中国史』(ちくま新書)を読んでいる。相当以前に読み始めて未だ読み終わっていない。そんなに難しい本なのかというとそうではなく、私は通常2~3冊を併行して読んでいるが、いつ読んでも面白い本は後日電車の中ででも読もうと読むスピードが遅くなるためだ。

 もちろんこの本は、現代進行形の高市首相の舌禍事件とは関係ない。
 とはいうものの、変にリンクしていて感心している。
 それは「外交」ということで、中原(ざっくり言えば中国中心部の平原)にも多くの王朝が並立したし、その外には、匈奴(きょうど)、鮮卑(せんぴ)、突厥(とっけつ)、契丹(きったん)、女真(じょしん)、蒙古(もうこ)、満州(まんしゅう)、・・西方には烏孫(うそん)、ウイグル、ソグド、・・・きりがない。
 つまり、中華の王朝は、戦争をし、和解し、姻戚関係を結び等々と数千年の間外交を展開してきたわけである。

 翻って日本の歴史を外交(の記録)にフォーカスして思い出してみると、百済や新羅を中心とした外交以外に見るべきものがない。海によって隔たれた島国という地勢が決定的であった。
 ということで感じることは、たかが明治以降の夜郎自大の時代を懐かしむ安倍チルドレンの「外交」などは、大陸の群雄割拠にもまれた彼らから見ると赤子に見えはしないかと・・・
 以上は、単なる個人の感想だが、現政権の幼稚さ加減には悲しくなる。

2025年11月21日金曜日

世界のリアリズム

    保坂正康氏の本にあったが、2023年1月、アメリカの有名なシンクタンク「戦略国際問題研究所:CSIS」が台湾有事のシミュレーションを公開した。設定は2026年に中国軍が台湾の海軍や空軍を攻撃して台湾を包囲し、数万人の兵隊が上陸するというもの。
 基本的には米軍の支援を受けた台湾軍が中国軍を10日以内に撃退するが、台湾軍は平均で3,500人の犠牲者、米軍は航空機168~372機、艦船7~20隻、空母2隻の損失と死傷者10,000人を出す。
 自衛隊は米軍基地や自衛隊基地が攻撃された場合、平均で航空機122機、艦船26隻の損失を出す。中国軍の死傷者は22,000人に及ぶ。

 この手のシミュレーションはちょっとした数字の入れ替えで大きく答えも変わるだろうから細かな話は置いておいて、保坂氏は、「このように中国もアメリカも「原価計算」すれば戦争を選択しないはずだ」 と書いている。これが、ほんとうのリアリズムだと思う。

 リアリズムでいえば半藤一利氏が「こんな狭い国土で、しかも国境線がやたら長い国土で、真ん中に大山脈が走っていて、平野部は海岸線にしかなく、そこに原子炉が50以上もある。守るにこんな守りづらい国はない。いや、守ることなんてできない。それが現実なんですよ。それこそリアリズムというものなんです」と明解だ。

2025年11月20日木曜日

歴史的健忘症防止

    五木寛之氏の本の中に、「歴史的健忘症を憂う」という小節があってハッとさせられた。 
 執筆は2024年の5月1日のことだと思われるが、「新聞5紙に目を通したけれども昭和27年の血のメーデー事件に触れている記事はなかった」「警察が戦後初めて群衆に向かって水平射撃をした。それだけ大きな出来事にもかかわらず、私の記憶には残っているけれども新聞には1行も出ていない」と指摘し、続けて「これはいわば歴史的健忘症です。それをジャーナリズムが自ら進んで患っているような感じがする。この国はボケてきたのかもしれません」とあった。

 さて、11月19日朝日朝刊トップ記事の見出しは、日中局長協議に係わって「日本側、対抗措置に反論」であり、その下の段には「総領事国外退去吉村氏「検討」を」であった。そしてネット社会では、高市発言はスルーしたまま中国の対応を非難する短文があふれている。もしかしてこの国は・・・

 で、私は五木氏に叱られぬよう歴史の記憶を引っ張り出した。
 俗に歴史の分かれ目といわれる1933(昭和8)年、国際連盟脱退を報じた新聞である。
 「聯盟よさらば! 我が代表堂々退場す」である。

 これを半藤一利さんの残された言葉でいえば、『よく各新聞社の社史には「軍部と内務省の圧力で言論を封じられたので、新聞もそうならざるを得なかった」と書いてありますが、それは嘘ですね。みんな自分たちで煽っていますから』
 『昭和8年に日本は国際連盟から脱退します。その時は斎藤実内閣です。のちに二・二六事件で殺された人です。どちらかと言うと、穏健内閣ですから国際連盟を脱退しないという方針に踏みとどまっていました。脱退派が閣僚に山ほどいて、大論議が起きていたにも関わらずです。その時に、政府の尻を叩いて、早く脱退しろと唱えたのは新聞社です。全国の新聞社130社余りが合同で声明を発し、「日本はもう独自の道を歩いた方がいい」「何も米英のあごに使われる必要はない」と言って、脱退を促しました。国民もこれに喝采しました。このように新聞は煽ったんです』

 歴史的健忘症。的確な指摘だと感心している場合でない。

2025年11月19日水曜日

台湾の声

2025年1117 1030RecordChinaという内容を報じたniftyニュースによると、台湾の馬英九元総統ら国民党長老が高市首相の台湾関連発言について「愚かだ」などとする文章を発表した。以下、簡単に摘むと・・・

馬元総統は、「高市首相が台湾海峡関連に積極的に介入する態度が、日本での右翼軍国主義の復活を連想させることは避けられない」として、今年は対日抗戦勝利および台湾の光復(中国復帰)80周年だと論じた上で、「当時の中華民族が日本の侵略によって受けた痛みはまだ癒えていない。この敏感な時期に、高市首相が台湾海峡問題への武力介入を暗示する言論を発表したことは、大陸内部の感情をさらに刺激するものであり、極めて愚かだった。また、台湾海峡の平和と安定を望む台湾人の利益に打撃を与えるものだった」と論じた。

馬元総統はさらに、「対日抗戦勝利および台湾光復80周年の時期においては特に、日本の指導者はなおさら慎重に言動を行うべきだ」と改めて論じ、高市首相の台湾関連発言が「節目の年」に行われたことを問題視し、「私は台湾と日本が友好関係を維持することを支持するが、日本政府が『躁進』的(軽率に前へ進むの意)な言動を行い、台湾を危険に陥れることは歓迎しない。それは絶対に台湾民衆が望むことではない」と主張した。

また国民党の洪秀柱元主席は「台湾海峡のことに、日本人と何の関係があるのだ」を見出しとするフェイスブックへの投稿で、「このような発言は挑発であるだけでなく、台湾を危険の縁に追いやり、日本軍国主義の余毒が未だ除かれていない本質を完全に露呈するものだ。まるで核汚染水を排出するのと同じ心態であり、完全に隣国を犠牲にするものだ」と高市首相を厳しく批判した。

洪元主席はさらに「我々ははっきり言わねばならない。台湾はもはや日本の植民地ではない」「あなたたちはかつて、台湾人に対して50年にわたり植民、圧迫、虐殺を行った。台湾籍慰安婦の歴史的痛みについては、いまだに真の謝罪と賠償を得ていない。今なお台湾海峡問題に口を出すとは何事か。これは『関心』ではなく、赤裸々な歴史的傲慢であり政治干渉だ」と論じた。

洪元主席はさらに、「台湾は駒ではない。ましてや日本が再び手を染める舞台ではない」「歴史の誤りについて日本は未だ明確に説明していない。台湾海峡問題で裁判官のふりをする資格はない」と表明した。

・・・国民党の意見が台湾の意見でもないだろうが、台湾を事実上二分している半数の声ではある。
日本の右翼の皆さんはもっと謙虚に現実を見るべきではないだろうか。


2025年11月18日火曜日

池田清彦教授のX

 ネットの『日刊スポーツ』に下記のような至極まっとうな記事があった。そのとおりだと思う。『日刊スポーツ』いいね!

フジテレビ系「ホンマでっか!?TV」のコメンテーターとしても知られる生物学者で早稲田大学名誉教授の池田清彦氏が、17日、X(旧ツイッター)を更新。高市早苗首相の台湾有事をめぐる発言について言及した。
高市早苗首相は7日の衆院予算委員会で、台湾有事が集団的自衛権行使の対象となる「存立危機事態になり得る」と答弁。これに対し、薛剣氏がXで「その汚い首は一瞬の躊躇(ちゅうちょ)もなく斬ってやるしかない」などと投稿(現在は削除)したとして、木原稔官房長官が、中国に抗議したことを明らかにしている。一方、中国も外務省などを通じ高市首相の発言について反発するなど、波紋が広がっている。

池田氏は「勇ましいことを言ってネトウヨに拍手喝采されて、いっときのエクスタシーに酔っても、何も得することはないのにね。高市には東アジアの地政学的なバランスが全くわかっていないようだ」と指摘。「中台関係は両者に任せておけばいいのに、中国が怒っているばかりでなく、台湾も迷惑だと言っているよ。何で、関係ない日本が口を出すの」と高市首相の発言を批判した。
続けて「中国をこれ以上刺激して、交易がストップすると、日本はやばいことになるよ」と懸念。「中国から日本への輸入は世界一、日本から中国への輸出は世界二位。中国を見捨てて、他の国と交易すればいいと簡単に言うネトウヨもいるが、他の国との交易を開拓する前に日本の経済はクラッシュするよ。頭きて戦争を始めると、アメリカは助けてくれないので、100%日本が負けます」と私見を述べ、「その後どうなるかはわかるよね」とつづった。

夏の思い出

    あえて取らずにおいてあった夏の思い出。空蝉。
 しっかり子孫を残せたのだろうか。

 2枚目は17日(月)の赤とんぼ(アキアカネ♀?)。
    寒冷前線通過前の日向ぼっこ。
 

2025年11月17日月曜日

定数削減論には裏がある

    自民と維新が国会議員定数の1割削減を目指しているが、長い自民中心の政治の腐敗に飽き飽きしている国民から感情的な支持もあるようだ。
 あんな不真面目な議員など減ればいい!と。
 しかし結論から言えば、それは不真面目な議員を追及する議員を落とし、比率でいえば不真面目な議員を増やすことになる。
 なぜなら定数削減の場合、手を付けやすいのは比例区であるからで、ズバリ焦点は比例区の削減だ。
 なぜ手を付けやすいかといえば、マスコミなどがまじめに社会を語るよりも、選挙をある種のゲームのように語ることに重心をかけるので、誰が勝つか、どの党が勝つかの予想が当たったかどうかが話題になる傾向がある。
 その延長線上に、運動競技やお笑いのコンクールのイメージと重ねて、トーナメントを勝ち抜いてきたものが真の勝者。敗者復活で勝ったものはある種のマガイモノのような没論理的な例えや感情が一定存在している。つまり、小選挙区の当選者が真の議員で、小選挙区では一位でなかったが、比例区で当選した議員を二流のように語る大きな間違いがあるからだ。
 さて、議会や議員とは何だろう。どうあるべきなのだろう。
 選挙区制について、私は一定の配慮がされるのを絶対に否定するものではない。
 しかし、図にあげた例のように、ある府県の約3割の支持しかない政党が、議席数では10割の議席を占めて「〇〇県の声はこういうことです」と反映されるのは良いことだろうか。
 それよりも、国会といっても委員会議論が中心になることは当然だろうから、国民の2割の支持を得た政党が2割の議席を得、3割の支持を得た政党が3割の議席を得る方がよほど正当性があると思うがどうだろうか。
 もう一つ、例え話だが、選挙区ごとの定数問題で全国で見ると「ひとり一票」ではなく、少なからず「地方」の方が「有利」であることがあるということについて、「弱者である田舎の声を反映させるために合理的である」つまり、「それによって都会の多数意見だけでなく田舎の少数意見も反映される」という主張もけっこう大きな声で語られるが、それでは聞くが、その種の選挙制度でもってバランスを考えなければならないものは、「都会対田舎」だけなのだろうか。
 選挙制度でそれに対処するなら、男性と女性の、一次産業従事者と三次産業従事者の、などなどいろんな「選挙区」をつくる必要がある。だから、「選挙区こそが真の選挙制度だ」みたいな話は絶対にやめるべきだろう。
 今日はここまで。

2025年11月16日日曜日

しくじり大臣

 11月13日の参議院予算委員会の動画がある。
 成長戦略と賃上げ環境整備担当大臣城内実氏。
 寅さん風に言えば「労働者諸君。賃上げなんて期待せず働き続けたまえ!」かな。
 少なくない動画には「こりゃダメだ!」との吹き出しがあった。
 この現実を笑うべきか悲しむべきか。
 時間がなければ、まあ、城内大臣の部分でもご覧あれ。
 

2025年11月15日土曜日

遊行期

    五木寛之著『遊行期(ゆぎょうき)――オレたちはどうボケるか』という本を読んだ。ハウツー本ではないが、中にはハウツーみたいなところもあった。
 そんな中の一つが「意識的に変化する」で、著者は、「よく規則正しい生活がよいと言われるが、同じ生活を百年一日のごとく続けていると・・ボケる・・」と書いている。
 ただこれは爺(男)の言い草であって、現実に日々のルーティンを支えている女性には「何を―!」となるだろうが、そのことは横に置いて著者の主旨を肯定して・・

 確かに、私は国語の劣等生であったが、例のテレビのプレバトを見て、それならいっぺん挑戦してやろうかと短歌、俳句、川柳を無手勝流で始めたら、確かに世間を見る目が少し変わってきた。大げさながら歳をとってから変化し、変化しつつあるつもり‥
 近頃は、「怒りや悲しみはサルでも表すが、笑いは人間の専売ではないか」と川柳に挑戦しているが、これがなかなかポエムにならない。人間力のせいかとうなだれている。

 編集に嚙んでいる会報の川柳欄に「歳なので 断るときの 常套句」という投句があったが、五木流に言えばこれが一番悪い。生きることを断ってはならない。
 著者は、「服装にしても、思い切って変化せよ」と書いている。
 そうは言っても、そんな服を着て出かけるところもない私だが、よしそれなら!とまた一つ帽子を買った。似合ってないかもしれないが、見慣れていない自分を見て、これもアリか!と思っている。変化!!

2025年11月14日金曜日

自身の減価償却

以前に自動車ディーラーと買い替えの話をした際、強くリースを勧められたのがそのときは不思議だったが、それは後で考えると「貴方あと何年乗る気ですか?」という提案であった気がする。
 客観的には、そういう年齢であることは間違いない。
 先日から家の複数の設備品の不調が目立ってきたのでちょっとした支出を行ったが、これは会社なら減価償却していくものだろう。だとしたら、よく似た考えで、購入にあたってこの利便を私は何年享受するかと考える自分がいた。
 例えば、あと30年享受できるなら安い買い物だがそれはあり得ない。あと3年ならもったいないという感じ・・
 今までが暢気すぎたのかもしれないが、近頃はそんなことも頭をよぎる。
 といって、設備も使えているうちが花であるから、そんな計算はできるだけしないようにして「長期間使って元を取ってやるぞ」と呟くことにしている。でもほんとはね・・

閑話休題・・8日の土曜日には孫の凜ちゃんの活躍があった。

2025年11月13日木曜日

維新の怖い体質

    日本維新の会の藤田文武共同代表が、自身の公設秘書が代表を務める会社に、印刷デザインなど約2100万円発注し、このうち約1965万円が政党交付金などの公金のため、「身内への税金還流ではないか」としんぶん赤旗日曜版がスクープしたことについて、藤田共同代表が記者会見を行ったことを116日付YAHOOニュースが報じたが・・

そこには・・「これに関し藤田共同代表は4日の定例会見で、弁護士に確認したら法的にはどこから切り取っても適正とする一方、誤解を招くという指摘や批判は真摯に受け止め今後は発注しないとしたが、この記者会見での態度があまりにもふてぶてしく、多くの国民の反感を買ってしまった」(テレビ局情報番組スタッフ)とあった。
そして、会見での藤田共同代表は、「それは自由じゃないですか?」「何がおかしいんですか?」「それはあなたの感想であって、一般的な商習慣というのを全く知らないだけだと思います」とイラだちを隠しきれない様子だったとし・・
さらに、記者会見をニュースとして扱った報道番組について、「昨夜のいくつかのテレビ局の編集は偏向報道そのもの。悪意か無知かわかりませんが、一般的な商慣習も基礎知識も無視した恣意的な内容。一次情報としての記者会見動画と見比べてもらえる時代。編集のおかしさがわかると思います」と、自身のXに会見動画へのリンク貼り付け苦言を呈したとし・・
「この行為にも《自分たちに不都合な報道を「偏向」と断ずることが維新の怖さ》《問題ないなら発注し続ければいい》などの声が上がりましたね。『しんぶん赤旗』記者の名刺をネット上に晒し“削除はしない”と表明するなど、藤田さんの強気な姿勢は、個人だけでなく維新の会全体のイメージを低下させてしまっている印象です」(同前)とあった。

 こういうように、特定のメディア(赤旗)には「取材に応じない」と言ったり、会見の場で記者を罵倒したりするのは、昔大阪市長時代の橋下徹氏が行っていた一手段で、該当の記者以外の記者やメディアをも委縮させる非常に権力的な態度である。
 遂には自民と組んだ維新の、こういう権力的非民主主義的態度は軽視し見逃してはならないだろう。

2025年11月12日水曜日

奈良の鹿

    立憲の西村氏が予算委員会で高市首相に対して「外国人が奈良の鹿を虐待している」かのような発言をしたことについて、「予算委員会で何をだらだら追及しているのだ」的な 批判をネットで維新の吉村代表が行った。
 翌日のABCテレビの「おはよう朝日です」でもそういう批判があったが、私はそういう批判にちょっと違和感があった。
 西村氏の演説の上手い下手は別にして、中学校ぐらいの国語のテストで「作者は何を言わんとしているか」ということになると、本質は「あやふやなニュースソースやごく例外的な一部の事象を、まるで日常であるかのように語るのは外国人排外主義に通じるのではないか」というところにあるのだと私は思う。
 高市氏は自民党総裁選挙で旧安倍派の右翼的議員の票を得るために、外国人排外主義の主張に便乗、おもねたのだろう。それは国の指導者としてやってはいけない態度であった。
 私は半世紀以上奈良公園にバードウォッチングに行ったり、今もその地の寺院の、ある「会員」であるから、鹿と人間の触れ合いをいろいろと相当見てきている。
 仁王立ち?になった鹿とボクシングのように喧嘩している日本人も見た。
 カバンのビニール袋を盗られている外国人もいた。そんな時は外国人に注意し、鹿には口から出すよう場合によってはほっぺたをはたいたこともある。
 今、インバウンドの奈良公園では日本人と思われる観光客は私の感覚だと10,000分の1ぐらいだと思われる。それでも、そんな悪質な外国人を見たことはない。私が見ていないことがゼロの証拠にはならないが、まるでそんなことが頻繁に起こっているかのような発言は盛りすぎだし、盛りすぎというのは8割方虚偽である。

2025年11月11日火曜日

キャッシュレス

    しんぶん赤旗日曜版に載っていた白石あづささんの『中央アジア紀行』という本のことだから曾孫引きになるが、「カザフスタンの首都アスタナには高層ビルが立ち並び、紙幣は都市部ではほとんど使っていない。高齢者もスマホの電子決済」というのにはちょっと驚いた。
 というのも私は現金またはプリペードカード派で、スーパーなどでスマホ決済をされている高齢者をレジの後ろから感心して見ている外野席だから・・・
 そんな私でも先日は電器店でクレジットカードを使ったが、サインでなく暗証番号を打てと言われて少し困った。なぜならこれまでは一貫してサインで来たからだし、番号の記憶に自信がなかったから。まあ、とりあえずは通過した・・・
 なので後日、暗証番号のテストのため、別のカードを別の店で試してみたのだが、それは、もう50年程は使ってきたカードであるがこれまでは全てサインできたから、番号は全く記憶にないのでこわごわ使用したところ、番号どころかサインも不要で支払いは完了した。先日の電器店は???それとも今度の店が???
 結局、今回はよかつたが今後はどうなることやら! アスタナの爺さんに笑われそうなニッポン人、我!
 妻には「靴下一足クレジットカードで買ってみたら」と勧められているが、それで「このままでは使えません」と言われたら恥ずかしい。

2025年11月10日月曜日

立花氏逮捕

    兵庫県警は
119日「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏を名誉毀損の疑いで逮捕した。 
 立花氏が、兵庫県知事らの疑惑を県議会で調査していた元県議の竹内英明さんを中傷し、SNSでいわゆる「犬笛」※を吹き、それになびいた不特定多数の投稿で竹内氏が精神的に追い詰められて自殺したと考えられる事件であるが、余罪は多いと言われている。
 立花氏は出直し知事選で、斎藤氏の再選を支援する「2馬力選挙」のために立候補。その後も選挙戦中は警察の直接的介入が困難なことを悪用して、大阪の泉大津市長選など各地の選挙を渡り歩いていた。
 「余りにえげつない」という声がついに県警を動かしたのだと考えられるが、この「N国党」と参議院で自民党は統一会派を組んでいる。そういう意味で自民党もえげつなくないか。
 (写真はネットにあった東京新聞のもの)

 ※ ネットで、特定の人の住所、家族、電話番号、メールアドレスなどのプライバシー等をさらす行為を「犬笛を吹く」と言うそうで、騙されてか面白がってか、それになびく者がいて、民主主義をゆがめている。(11月7日の記事も参照)
 先日は、赤旗日曜版の記者の名刺が維新の藤田共同代表によってネット上にさらされ、迷惑な電話などが寄せられているらしい。
 「犬笛を吹く」ということでは、N国党党首も維新の共同代表も同類らしい。

 犬笛を吹いて警笛吹かれたり

2025年11月9日日曜日

ヤイトカツオ

    世の中知らないことが多いから面白い! と己が無知をごまかしている。
 いつもと違うスーパーの鮮魚売り場で『ヤイトカツオ』というお刺身を見つけた。
 見た目はカツオといえばカツオのようだが違うといえば違う。
 だいたいケンケンカツオというのは知っていたが、ヤイトカツオは私は聞き始めであった。 
 知っている人には「今さら何を?」という話なのだろうが・・・
 ちなみにケンケンカツオというのは一種の一本釣り漁法で新鮮なのが売りのカツオである。
 ということは、ヤイト漁法とでもいう漁法があるのだろうか。
 ということで、店員さんを捕まえて「ヤイトカツオとは何で、なんでそういう名前なのか」と尋ねたら、すぐにバックヤードに聞きに行った。つまり店員さんは知らなかった。
 で、出てきて言うのには、「肌に灸(やいと)の痕のような模様があるのでそういうようです」とのことだった。
 スーパーの店員さんにそれ以上の質問は酷なので、あとは自己責任・・・私は非常に美味しそうだと判断して購入した。
 結論的には、ヤイトカツオがカツオの一種なのかどうかはわからなかったが、味は私の判断どおり申し分なかった。妻も同意見だった。
 ヤイトカツオ。見つけたらご賞味あれ!

2025年11月8日土曜日

振込詐欺対策

    久しぶりに、ホンのちょっとした金額を振り込むために銀行に行った。
 
 この年寄りは危なっかしいと思ったのか、銀行員がつきっきりでATMの操作を教えてくれた。
 機械操作は、指紋認証もクリアして自分的にはスムースに進行したが、ところが、作業がほゞ終了した時点で機械がストップして「すみません窓口へ・・」ということになった。
 想像だが、ほとんど来たことのない高齢者が振り込みに来たのでこれは振込詐欺ではないか。
 あるいは、モニターで見ていて作業がスムースでないので、やはりAIあたりが振込詐欺ではないかと判断したのではないか。
 そこで振込の根拠の契約書などの印刷物を見せて、しばらくして上司の決裁も受けて?、ストップが解除されて、もう一度同じように機械操作をして振り込みは完了したが、ちょっとの間待機させられた。
 銀行のセキュリティーというか事故防止対応の立派さを誉めるべきか、如何にも振込詐欺に騙されていそうな年寄りと判断されたことを悲しむべきか???

2025年11月7日金曜日

犬笛

    新語流行語大賞のノミネートが発表されたが、悪い方の意味で「犬笛」があってもよかった。
 この時代に悪い意味で特筆しておいてよい事柄だった。
 兵庫の知事選で知事を批判する議員に対して、「首謀者は〇〇だ」とネット上で犬笛を吹くと、狂信的な人間が家まで押しかけて嫌がらせ、否脅迫までを行い、電話やメールで同様のことを繰り返した。その結果議員は自殺した。
 岸和田の維新から出た市長を批判した元議員は私の後輩でフェイスブック友だちだったが、「元議員の住所を教えろ」という趣旨のメッセージが私のところまできた。
 ネットを土俵にしている右翼のことをネトウヨというらしいが、こういう風に攻撃相手の住所等をネット上にさらすのを「犬笛を吹く」という。

 先日、維新の共同代表藤田氏が公設第一秘書の企業に公金約2千万円を支出していて、公設秘書はその会社から報酬を受け取っていたことをしんぶん赤旗がスクープしたが、藤田氏は言論で答えるのでなく赤旗の新聞記者の名刺をネット上にさらした。
 これが犬笛でないとどうして言えようか。
 嫌な流行語?だが、軽視できない現代語であることは間違いない。

2025年11月6日木曜日

これぞホンネだ

    11月1日に『属国ニッポン』を書いたが、少し私の感覚が過敏でなかったかと心配していた。 
 そんな折、東京新聞の『本音のコラム』にカリフォニア大学大矢英代助教授の『下駄の雪、ニッポン』が出たので大いに納得した。氏のコラムは以下のとおりである。

 🔳 満面の笑みで親指を突き上げたり、子どものように跳びはねたり・・・トランプ大統領の隣ではしゃぐ高市首相の映像を見て、目を覆いたくなった。横須賀基地での演説の一幕である。米国では連邦政府が閉鎖中で、公務員の給与は滞り、貧困世帯への食料支援も揺らいでいる。怒りが渦巻く最中に、そんな写真が世界に拡散された。米国で暮らす日本人の一人として、恥ずかしかった。
 腹立たしさも覚えた。首相が肩を抱き寄せられた瞬間である。「アメリカ人はフレンドリーだ」という話ではない。米国のビジネスシーンで握手以外のボディータッチは基本的にNG.一国の代表同士ならなおさらだ。あの抱き寄せは、トランプ大統領が外国の首脳に優位性を見せつける際の常套手段にほかならない。
 もし、横にいるのが中高年男性だったら、あんな風に抱き寄せただろうか。そう思うとますます癪に障るのは、仕事関係の場で望まないボディータッチをされ、突き放したいのに作り笑いでやり過ごした若い頃の自分を思い出すからかもしれない。古傷がうずく。
 極め付きは、核実験再開の指示表明ときた。被爆国への訪問直後に口走る無神経さにも、ノーベル平和賞を要求する厚かましさにもあきれ返る。
 要するに、なめられているのだ。「どんなに踏んでも日本は俺について来る」と。🔳

 わかる。わかる。わかる。
 それでも高市内閣の支持率は高いとか。わからん。

2025年11月5日水曜日

ついに来た!クマ出没

    ついに来たか‼
 わが自治体からLINEが入った。
 私の家からそう遠くないいわゆるニュータウンにおいて、クマらしきもの1頭の目撃情報があったということで、「付近にお住まいの方や通行される方は注意してください」「クマを発見した際は、大声を出さず、ゆっくり後退しながら避難してください」「生ごみなど餌になるような物は、屋外に置かないようにしましょう」「クマを目撃した際は、決して近づかないで、行政機関や警察に連絡してください」とのこと。
 「クマらしきもの」とは???だが、すぐ近くには現在ミサイル弾薬庫へと大拡充計画で有名な『祝園弾薬庫』があり、土塁のような森?から夜な夜な出没するイノシシは以前から問題になっていたから、可能性がないとは言えないが・・・???
 「まさかこんな街中に・・」というのは一種の「正常性バイアス」かもしれない。
 正常性バイアスとは、自分にとって都合の悪い情報を無視したり過小評価したりするという認知の特性のことで、自然災害や火事、事故、事件などといった自分にとって何らかの被害が予想される状況下にあっても、それを正常な日常生活の延長上の出来事として捉えてしまい、都合の悪い情報を無視したり、「前例がない」「自分は大丈夫」「今回は大丈夫」「まだ大丈夫」などと過小評価するなどして、逃げ遅れの原因となる。
 そういえば、奈良市や木津川市でも目的情報が報じられているから、気をつけるのに越したことはない。
 今月は箕面方面にハイキングが計画されているから、熊鈴代わりにカズーでも吹きながら歩いたらよいが、そうすると息が上がって歩けなくなるかも。

2025年11月4日火曜日

鷽の根付

    9月28日に、私が30年以上キーに付けていたウサギの爪を息子に譲ったことを書いた。代わりに二月堂の糊こぼしの椿の根付(チャーム)にしたが、万が一落としたときに音がしないのが少し不満だった。
 そこで先日、大阪天満宮に寄ったときに『鷽(ウソ)替えのお守り』(根付)を戴いてきたのを付けることにした。(鈴でもある)

 奈良の菅原天満宮の鷽替え神事のことは過去に書いたことがあるが、大阪天満宮でも鷽替え神事は1月24日25日にあるらしい。
 奈良の菅原天満宮の鷽替え神事(のクジ)では私はいまだに当たったことはないが、古い友人が道明寺天満宮の鷽替え神事で特別に大きな鷽を引き当てたこともある。
 それにしても可愛い鷽である。
 世の中のネット社会では嘘情報が氾濫している。鷽さんよ、悪質な嘘を食べつくしてくれないか。

2025年11月3日月曜日

なんでやねん

    ABCテレビ夕方の「newsおかえり」の火曜日に「なんでやねん⁉」というコーナーがあり、近畿一円のどこかの町に残る不思議な痕跡の理由を探っている。・・妻の好きな番組だ。 
 最近のそれは「阪神高速なのに高架でなく地上を走っているのはなんでやねん」だったが、それは私が長年勤務していた場所近くでもあったので、即決で妻に答えを言った。
 番組の方は、面白おかしく調査・検討して少しピント外れな答えで可笑しかった。
 答は、阪神高速13号東大阪線の法円坂付近で、理由は高架化のための橋脚の工事で地下の難波宮(なにわのみや)の遺跡を破壊しないよう、この部分だけ地上を走っている」のである。
 これは、最近も書いたが、古代史学者直木孝次郎先生をはじめとする遺跡保存運動の成果である。

 同じようなことは奈良の平城宮跡でもあった。平城宮跡は遺跡とともに貴重な木簡出土で有名だが、それらの木簡は地下水に守られて今も残っている。地下水が低下するとこれらの木簡等は朽ち果ててしまう。
 歴史学者や政党でいえば共産党が支援する保存運動の結果、現在24号線はギューッと東にカーブして今がある。
 余談だが、そのカーブの周辺に貴重な長屋王の邸宅遺跡があったのだが、ここは保存できなかった。そして、その地に建設された「そごう」もその後の「イトーヨーカドー」も廃業なり撤退して、大和スズメは「そら見ろ、長屋王の祟りじゃ」と語り続けている。これは余談。
 ところが現在、奈良県知事らは奈良県出身首相誕生に悪乗りして、この付近に京奈和自動車道建設を強行しようとしているようだ。
 平城宮跡は迂回するべきだと思うし、場合によっては法円坂方式も一案だ。

 単純な言葉のイメージで、保守は歴史や伝統を大事にして、片や革新はそれらを重視しないかのような大誤解があるが、実際は、保守を名乗る政党らは多額の道路建設関係予算の利権に群がり、反対にいわゆる天皇陵や寺社を含む歴史遺産の保護・保存に強力に取り組んでいるのが革新とりわけ共産党である。
 それを共産党も保守的でないか等と笑い話にするのでなく、素直に評価するのがよい。

2025年11月2日日曜日

ブルージェイズ

    ワールドシリーズを観ての感想の第一は、トロント・ブルージェイズのキャップ(帽子)などのロゴが可愛いということだった。 
 「あれは五大湖にいる?イルカだろうか?」と妻に聞くと「スマホを繰ったら青カケス(ブルージェイズ)だ」と教えてくれた。(五大湖に川イルカはいない)
 北米ではおなじみの鳥の頭にカナダのサトウカエデだという。
 現在の他の球団のキャップのロゴが文字のデザインであるのに対して、一人(一球団)イラストのロゴを貫いている姿勢は好きだ。
 日本だって、かつては近鉄バッファローズが岡本太郎デザインの猛牛の頭のロゴで、小さい頃の私は南海ファンだったが近鉄のキャップが羨ましかった。
 どうしてオリックスはあのロゴを引き継がなかったのだろう。著作権(料)の問題なのだろうか。
 ワールドシリーズは日本人3選手の活躍もありどうしてもドジャースを応援することになるが、第3戦延長18回6時間39分は堪能した。
 日本の野球もよいがアメリカの野球にはまた別のよさがある。俄かメジャーリーグ贔屓である。

2025年11月1日土曜日

属国ニッポン

    外交辞令もお世辞も否定するほど野暮ではないが、高市首相の、来日したトランプ氏との米原子力空母上でのはしゃぎ振りには、一日本国民として悲しくなった。もちろん個人の感想だが・・ 
 You Tube には動画もあるが、恥ずかしいので転載はしないでおく。
 ポツダム宣言を受諾して降伏文書に調印した先輩達にはもっと矜持があったように思うがどうだろう。
 巷では、あのトランプをおだてて帰したのはエライという意見のあるのも知っているが、私には恥ずかしい属国の接客婦の振舞いに思われた。あれは外交ではなく接待だ。
 これまではこの国の歴代指導者が必死になって独立国の体裁を保とうと努力してきた??のを、いとも簡単に「属国の素顔」をさらけ出してくれた。それを「正直でよろしい」と言うのも辛すぎる。
 前回トランプ氏が国技館の大相撲に来たときも、有名な右翼の論客と言われる人々が今回同様はしゃいでいたことを思い出した。日本の右翼と言われる人々のこの種のメンタリティー(心的傾向)は私の理解の外である。
 首相は、お追従半分にしても「ノーベル平和賞に推薦する」と述べてトランプ氏をヨイショしたが、そのトランプ氏は訪中のタイミングで33年間実施してこなかった「核実験の再開」を発表した。

2025年10月31日金曜日

マップメーター

    地図を見て距離を調べたいと思ったとき、
 確か「マップメーター」のような文具があったはずだと検索したら、中国製らしきものが数百円で売られていた。わずか数百円。当然船便だろう。
 ところがこれが相当余裕のあった配達予定日になっても配達されない。手漕ぎボートででも輸送されているのかしらん。

 結局、通販会社に「届いていない」「もういらん」「返金してくれ」とメールすると、通販会社から「返金します」と返事があった。正確には未だカードから落ちていないのだが、一旦落ちて返金になるはずだ。
 少し腹が立ったが、数百円のことであまり気にもならなかった。

 すると、それから相当経ってから現物が配達されてきた。
 二重に購入もしていないから問題はないので「払ってほしい」と言ってきたら「払ってあげる」気でいるが、数百円のことでどう言ってくるだろうか。

 そもそも調べたかったのは、高齢者が天満天神繁昌亭で観劇をした後、パーティー会場まで歩くのに支障がないかどうかである。
 メーターで測ると約1200ⅿ強。非常に悩むところである。というか、私なら「無理だ」と判断したい距離。それはさておき・・

 さて、世はIT時代である。そう思ってそのことを検索してみると、「Google マップで右クリックして距離測定にすると答えが出る」という。試してみると即座に答えが出た。即完了!
 嗚呼!この1か月強の私のネット通販とのやり取りは何だったのだろう。
 ITを思いつく前に昔々の文房具の思い出に乗っかった後期幸齢者を笑って参考にされたい。えっ!そんなことは常識ですか。

2025年10月30日木曜日

オンブバッタ

    毎年なら紫蘇(しそ)の最盛期にはオンブバッタがワンサカいるものだが、今年はほんとうに少なかった。
 もう紫蘇は全て抜いてしまった今頃、ちょいと現れたので撮影した。
 これが異常気象(酷暑)のせいだったのかどうかは知らない。
 昆虫の一般的標準どおり下の大きなバッタが♀である。
 実はオンブしているのではなく、交尾の後も♂が勝手に乗っているらしい。その理由は♀を他の♂に取られないようにということらしいから、ストーカーというか、究極のヒモかもしれない。いやいや律儀な一夫一妻の仲良し夫婦だろうか。
 冒頭に書いたとおり毎年大量に湧いてきて紫蘇の葉を食い散らす。一言で言って害虫そのものだが、なんとなく可愛いのであまり駆除していない。あなたならどうする。

2025年10月29日水曜日

妹尾河童氏の自伝

    『少年H』は著名なグラフィックデザイナーであり舞台美術家である妹尾河童氏の自伝である。
 父親は神戸で洋服のテーラーであったから顧客には外国人もいた。
 紀元二千六百年(昭和15年)の頃、小学生のHはスケッチが好きで家から近い須磨沖の軍艦をスケッチしたこともあったが、父親は「写真や本を見て描いてもええけど、実際のものを見てスケッチするのはやめときよ」と真顔で念を押した。
 当時は、こんなことまでが軍事機密とされていた。
 また、知り合いの消防署長に火の見櫓の望楼に登らせてもらったが、これも父親から「登ったことを絶対に友だちにもいうたらあかんよ。許可されている人以外は防諜法違反になるからな」と本気で怒られた。
 片やメディアは、Hの父母が通っていた教会の牧師が逮捕されたことも、当時父は消防手であって出動した兵庫駅南の空襲で死者が出ていた事実も、それらは一切報道されなかった。これも防諜法(スパイ防止法)の一面だった。
 そんな中、ある朝、私服刑事が父を連れて行った。帰国した顧客から以前に絵葉書が送られていたからだった。それは以前にHが友だちに絵葉書を見せたことがあったからだった。
 この小説(自伝)は映画にもなったが、映画では父親は拷問を受けて帰って来ていた。
 「僕のあの絵葉書のことで、お父ちゃんが引っ張られた」と悲しみながら、翌日学校に行ったHは飛び上がるほど驚いた。Hの机に白墨で、スパイと大きく書いてあったのだ。
 スパイ防止法が声高に語られる今日、この本は自宅の書架に置いておき、適宜読み返すのがよいと思う。講談社の文庫にもなっている。

2025年10月28日火曜日

お前はスパイだ

    高市内閣が発足してから俄かにスパイ防止法を制定せよという声がけたたましくなってきた。
 「よう知らんけど、一般市民には関係ないだろう」という気分も大いにあるが、ほんとうにそうだろうか。
 善良な日本国民を霊感なるもので洗脳して巻き上げた大金を韓国に送金していた旧統一協会関連団体の広告塔(広報誌)に首相自身がなっていながら何がスパイ防止だと思うが、それほどに、ことは政治的なものである。

 さて、2018年10月に警視庁公安部は大川原化工機㈱と社長自宅などを強制捜査し、カッコ付きの任意の取り調べが、社長39回、常務35回、相談役18回、会社関係者47名に291回行なわれた。
 2020年3月、社長、常務、相談役が外国為替及び外国貿易法違反で逮捕され、接見禁止で拘留された。
 その後、弁護士の保釈請求も棄却され、再逮捕、追起訴され、A氏は拘留期間中に十分な治療が受けられない中、胃がんでなくなった。正確には約11か月ぶりに釈放された2日後に死亡。なお、保釈条件に接触禁止があったので、他の2人は最期に立ち会うこともできなかった。
 2021年7月30日、検察官は公訴の取消しを申し立て、裁判は公訴棄却で終結した。???である。
 以上が大川原化工機事件であり、スパイ罪でっち上げ事件である。
 現状でもこれだから、一般市民がスパイ罪だというように逮捕され、「証拠はどこか」というと、「機密事項だから言えない」となるのがスパイ防止法である。
 そしてその影響は第一にメディアに出てくるだろう。そういう性格のものだろう。

 (明日の、妹尾河童著『少年H』につづく)

2025年10月27日月曜日

菜園自慢

    今年は夏の終わりにトマトを抜いてしまったところ、秋にはトマトの値段が高騰しているので、妻に「もっと置いておいてほしかった」と叱られている。プチトマトは例年、木枯しが吹くころまで採れるのに惜しいことをした。
 その一方、夏のキュウリが終わったころ、「秋でも採れるキュウリ」という苗を1本植えたが、それが写真のように大きくなった。あと暫くはキュウリの糠漬けは食べられそうである。
 去年のこぼれ種から伸びてきたツルムラサキは収穫最盛期だから、これもオシタシなどにしている。
 片方では冬野菜のミズナがグングン成長してきたから、必要なだけの葉を摘んでサラダや鍋料理に重宝している。
 菊菜(春菊)やルッコラはそのうちに「つまみ菜」になる。ウスイエンドウは芽を出したところだ。
 猫の額みたいな土地での「放ったらかし農法」だが、農は楽しい。

2025年10月26日日曜日

直木孝次郎氏のこと

    10月19日に直木孝次郎氏の遺稿が本になったことを書いたが、せっかくの機会だからもう少しだけ直木孝次郎氏のことに触れておくこととしたい。 
 私は1960年代前半に高校生であったが、社会の先生が山根徳太郎先生の難波宮(なにわのみや)発掘(遺跡発見)を、その日の科目テーマとは関係なしに熱く語られていたことを覚えている。
 直木先生はその難波宮の発掘とその地の遺跡保存運動を山根先生とともに積極的に進められた。
 時あたかも『高度経済成長政策』の時代であったから、大阪市中心部の超一等地の開発をストップさせ遺跡保存が成ったことは奇跡に近い。諸条件は異なるが、京都の平安宮は遺跡保存されていない。
 難波宮大極殿北西のNHKの南(第二合同調査東隣)も広場として残され、当時あったとされる大きな倉庫が一棟復元され、他の倉庫の柱の後もタイルで残されている。

 直木氏は、その後も各地で起こった遺跡保存運動に関わられ、2000年には文化財保存全国協議会の第1回和島誠一賞を受賞された。
 古代史研究の功績も多くこんなブログでは到底紹介できないが、例えば、671年(天智10年)唐の郭務悰が2000人で訪れたとき、近江朝廷から絁(あしぎぬ)1673匹・布2852端・綿666斤を賜ったと日本書紀が端数まで記すのは、郭務悰が白村江での日本の捕虜を返還しに来朝したことを示すという論など、そのするどい洞察力には感心する。なおこのことなどその他、古代史学者小笠原好彦先生の書かれた追悼文を参考にしてこの記事を書いた。

2025年10月25日土曜日

労働時間の規制緩和とは

    高市首相は就任早々の
21日、初仕事として厚労大臣に、労働時間規制の緩和検討を指示した。
 この指示は、2019年施行の「働き方改革関連法案」で労働基準法に定められた、残業時間の罰則的上限規制などを緩和しようとするもので、まるでブラック企業経営者の発想だ。
 そしてこれまで労働行政が積み上げてきた、長時間労働の是正によって、過労死・過労自死等の健康被害を撲滅し、多くの労働者が苦しんでいる仕事と育児・介護の両立支援促進という理念をも真っ向から否定する悪政だ。

 現在、労働者側代表と合意(36協定)によって設定される残業時間の上限は、原則として月45時間・年360時間。ただし、臨時的な特別の事情がある場合は年720時間(ただし、休日労働を含めば960時間)迄は延長可能。単月100時間未満(休日労働含む)、複数月平均80時間(休日労働含む)を超えられず、限度時間を超え時間外労働を延長できるのは年6ヶ月が限度とされ、この規制の違反には刑事罰も予定されている。
しかも、規制の上限内容は医師等によって検討されてきたいわゆる過労死ラインを超えるもので、規制が浸透せず遵守していない使用者も世の中にはあふれている現状では、これまでの政権与党自らが「働き方改革」として成立させた労基法の罰則的上限規制を一層社会に浸透させることこそ重要なのにである。
重ねて言うが、長時間労働は、脳心臓疾患による過労死や、精神疾患の有力なリスクファクターだということは疫学的にも証明されていることだし、さらに仕事と家庭生活の両立(ワークライフバランス)を阻害し、少子化対策や女性のキャリア形成、男性の家庭参加をも阻害し、社会全体の活力を奪うものだ。
さて、統計は諸条件の違いを考慮しなければならないが、日本の正規雇用の労働時間は、バカンス制度があり、残業を原則として考慮しない西欧に比べて異常に長くなっている。一方、実質賃金は上がらず、かつてゴルバチョフが「ウサギ小屋だ」と馬鹿にしたマイホームさえ勤労者には高嶺の花となっている。
にもかかわらず、アベノミクスの結果、一人当たりのGDPは主要7か国中最低で、OECDの底辺クラスである。

高市内閣は時代を逆走しようとしている。
労働時間の規制緩和を許してはならない。労働者の生活が苦しくなるということは、高齢者を含め社会全体が辛く貧しくなるということだ。

2025年10月24日金曜日

白頭山から

    10月22日に冬が突然やってきた。冬というと雪であるが、雪国金沢には親戚がいる。2024年元旦にスキーを楽しんだ孫の夏ちゃんファミリーがその家で能登半島地震に遭遇した。それはさておき・・

 朝鮮半島の付け根付近、北朝鮮と中国の国境線上に白頭山という標高2,744ⅿではあるが周辺の山脈を含めると全体で九州ぐらいになる孤立した山岳がある。 
 この辺りは歴史的には、濊、貊、高句麗、靺鞨、渤海、契丹(遼)、金、モンゴル、女真、清、満州、朝鮮などの国や民族が覇を争った地で、その戦乱の歴史は、極東の列島人では想像がなかなか追いつかない。
 そして現代では、北朝鮮も韓国も、朝鮮民族の故郷の霊峰として白頭山をあがめている。
 韓国の第二の国歌とされている『アリラン』でも、
 〽 アリラン アリラン アラリよ
   アリラン峠を越えて行く
   あそこのあの山が白頭山なんだね
   冬至師走でも花ばかり咲く ・・と歌われている。

 金沢の話から、なぜそんな遠い?異国のことを書くのか!というと、先日読んだ坪木和久著『天気のからくり』に・・冬季に大陸の寒気が日本海上に流れ出すのだが、寒気は重いので白頭山を乗り越えることができず、東側と西側に分かれて流れ出し、風下側の日本海上でぶつかり合い、「日本海寒帯気団収束帯」(JPCZ)と呼ぶ通常の雪雲の高さ(たかだか3㎞)の倍くらいの5~6㎞の帯状の雪雲、いうならば線状降水帯のような異常な「降雪帯」になり、北陸、能登半島や金沢に記録的な大雪を降らせるのだという。
 豪雪は、単純に「西高東低の気圧配置で大陸の冷たい空気が流れだしてくる」というほど単純ではないらしい。

 そんなことを思うと、遥かアムール川から流れ出た流氷が北洋の豊かな漁業資源の素となったり、評判の悪い黄砂だって、日本海や日本列島を豊かにしていることがあるように、イマジンではないけれど、自然に国境などないんだと気づかされた「天気の本」だった。
 もう一度言うが、地球には国境などないのだ。

2025年10月23日木曜日

熊鈴

    御承知のとおり、クマによる被害報道が連続している。
 
 さて、よく言われる「山の”木の実”などが不作」だからクマは里に下りて来たのだろうか。
 わが街周辺の狭い知見からはあまりそのよう(どんぐり等の不作)には思わないが、この件についてはよくは知らない。もう少し事実を調べてみたい。

 それよりも『知床財団』の動画などを見ると、クマを見るためにクルマからエサを投げ与える人間、写真を撮ろうとクルマから降りて近づく者、そして、食べ物のゴミなどを放置する、・・そんなことが原因で、本来は人を避けようとするクマが里にまで出没するようになったのではないかとの指摘がある。私は一定の説得力を感じている。
 一般論だが、私の感覚的な経験からいうと、一部写真撮影のグループのマナーの悪さには同意する。お花畑に入る、鉄道敷地内に入る、個人宅に入る、・・・

 奈良公園周辺でも鹿害(ろくがい)といって鹿による畑荒らしなどが問題になったことがある。もともとは芝生の芝やどんぐりを食べていた鹿が人間が与えた野菜の味を覚えて畑を荒らしたのだ。だから『知床財団』の指摘に一定同意する。

 クマにとって人間世界は「危険な場所」ではなくなり、「おいしい場所」になったようだ。
 わが家の前をランドセルにカウベルならぬ熊鈴をつけて通学している子どもがいる。実にほほえましいが、鈴の音がクマの方で「危険だ」という警告でなく、鹿寄せホルンではないが「よい知らせ」にならないことを祈る。
 わが街周辺ではクマの被害はと遠いことに感じられてはいるが。熊鈴を聞きながらそんなことを思う。