2025年12月3日水曜日

ニッポン辺境を思う

    「中央アジア紀行」
著者の白石あづささんがカザフスタンの首都アスタナに行ったときの話。アスタナは1997年に遷都した若い首都で、高層建築や世界中の名建築まである、まったくの未来都市らしい。
 この都市を設計したのが故黒川紀章氏で、その中にある、まるでリゾートホテルのような広大で立派な大学の初代学長は勝茂夫氏(元世銀副総裁)だという。
 そして著者が「意外だったのはこの街を設計したのも有名大学の学長も日本人、同じ国の人が活躍しているのは嬉しいですね」とカザフツーリズムの女性社員に言うとケタケタと笑われたという。
 彼女の言うのには、「私たちは普段173の民族とともに暮らしています」と、同胞である「日本人」の活躍に喜ぶ私の方がおもしろいらしい。
 では国ではなく民族がアイデンティティーなのかと聞くと、「そういう感覚は私たちにはないですね」と首を傾げた。
 他民族が好き勝手に移動したシルクロードの面目躍如と言ったところだろうか。
 そしてそれは世界の例外ではなく、どちらかというと、日本列島こそが「地球儀上」の例外つまりは「辺境」ではないかと大いに考えさせられた。
 「中央アジア紀行」という一冊の本や、白石あづさという一人の人間の感想を絶対のように語るのは正しくないだろうが、何かハッと考えさせられるレポートであった。近頃のネット上のヘイトスピーチを思って、なぜか恥ずかしくなった。

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