2025年11月26日水曜日

首相のホンネは

    2020年の学術会議会員任命拒否事件の際多くの学術団体が抗議声明を発表したが、主として奈良時代以前の文学を研究する「上代文学会」の抗議声明は次のような文章で閉じられていて非常に印象的だった。
 『前政権(安倍政権のこと)以来、この国の指導者たちの日本語破壊が目に余ります。日本語 には豊かなコミュニケーションを担う力が十分備わっているのに、見せかけの形式に空疎な内容を盛り込んだ言説が今後も横行するなら、日本語そのものの力が低下してしまいます。日本語の無力化・形骸化を深く憂慮します。頼むから日本語をこれ以上痛めつけないでいただきたい。』
 さて、この22日、23日に毎日新聞が世論調査を行ったが、内閣支持率が56%と高いまま、台湾有事発言も「問題ない」が50%という結果を見て、「日本語そのものの力の低下」を感じるのは私だけだろうか。
 いわゆる台湾有事発言は、自衛隊への出動命令権を持つ首相が、台湾南部の海上で戦争状態が生まれれば自衛隊員に派遣命令を出し、人の殺し合いを命ずるというのが「存立危機」という言葉の本質である。
 アメリカの戦略国際問題研究所のシミュレーションでは、いわゆる台湾有事の際、米軍に10,000人の死傷者が出、中国軍に22,000人の死傷者が出るとしている。その場合、自衛隊員だけが死傷者0人ということがあるだろうか。
 もっと言えば、在日米軍基地や自衛隊基地からミサイルでも発射するなら、海外線に50基もの原発を並べたこの国の国民は無傷でいられようか。・・目を覚ませ!
 ことの本質は、これが日本国憲法の三大基本原則・国民主権・平和主義・基本的人権の尊重、という下で放った首相の国会答弁であることだ。
 他国への敵意と熱狂をあおり、自身の「強さ」を表現して支持を集めようとする政治の向こうには破滅が待っているというのが歴史の教訓だ。

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