翌春からケガや病気を種々発症したのでその草挽きを怠ったところ、今やわが庭一面が草原になってしまった。
野菜類はその種の草よりも背が高いから、地面はハコベなど、その上に野菜類というように二階建ての菜園となっている。
今年こそは草挽きをと思っているが、連日の花粉予報に気が萎えている。
そして、引かれ者の小唄ではないが、ハコベもまた情趣でないかと、藤村の詩の一部を口ずさんでいる。
本日は上巳の節句なり。
千曲川旅情の歌 島
崎 藤 村
雲白く遊子(いうし)悲しむ
緑なす繁蔞(はこべ)は萌えず
若草も藉くによしなし
しろがねの衾(ふすま)の岡邊
日に溶けて淡雪流る
野に滿つる香(かをり)も知らず
淺くのみ春は霞みて
麥の色わづかに靑し
旅人の群はいくつか
畠中の道を急ぎぬ
歌哀し佐久の草笛
千曲川いざよふ波の
岸近き宿にのぼりつ
濁り酒濁れる飲みて
草枕しばし慰む
今日もまたかくてありなむ
この命なにを齷齪(あくせく)
明日をのみ思ひわづらふ
消え殘る谷に下りて
河波のいざよふ見れば
砂まじり水巻き歸る
岸の波なにをか答ふ
過(いに)し世を靜かに思へ
百年(もゝとせ)もきのふのごとし
春淺く水流れたり
たゞひとり岩をめぐりて
この岸に愁(うれひ)を繋(つな)ぐ
藤村先生について想うこと 50年前の新婚旅行です。宿は小諸にある「中棚鉱泉」。場所は古城と言われている「懐古園」の近くだった。現在は部分的に改築され「中棚荘」となってるらしい。当時木造の佇まいだった。2階に通された時、女将さんが「この部屋は藤村先生がよくお越しにきてくださいました」と。部屋からは千曲川が見下ろせて、静かな空間でした。
返信削除素晴らしい思い出なのですね。泊まってみたい。
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