2023年1月26日木曜日

みんなには聞こえないけど

   福田隆浩という作家は数々の児童文学賞を受賞されていたのだが私は全く知らなかった。朝日新聞の「人」欄で知った。特別支援学校の先生でもある。

 今回の本も、近所のショッピングモール内のけっこう大きな書店にはなかったし、アマゾンでも楽天でも「版元取り寄せ」だった。

 児童文学というジャンルらしいが、私はそういう分類はある意味ナンセンスだと思うのだが、要するに「それほど売れない本」というジャンル?なのだろう。

 知的障害のある女の子の心象と、親、兄、先生らのやりとりを綴った物語だが、私にはすずちゃんの気持ちが不十分ながら良く?判った。
 そう、すずちゃんは家族にも先生にもうまく話せないのだが、心の中では健常者と同じように考え、同じようにいろんな感情を湧きあがらせているのだ。

 すずちゃんはきのこが大嫌いな五年生。これまで一度もまともに食べたことがない。ところが今日の給食はきのこのサラダだった。

 (担任から母親への連絡帳)・・・後ろの席に座っていた一年生の男の子がすずさんより先に「きのこはいやだ!たべない!」と大騒ぎを始めてしまったのです。すずさんは、その騒ぎをきょとんとした顔で見ていました。どうやらそのときに、すずさんの胸のおくで、おおきな心境の変化があったようです。

 フォークの先にさしていた小さなきのこを、いきなりぱくっと口に入れ、少し吐きそうになりながらも、ちゃんとかんで、しっかりと飲み込んでくれました・・・
 ・・・・・

 表紙カバーには、『いってきまーす! みんなには聞こえないけど、わたしは大きな声をあげた。』とあった。

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