2023年1月10日火曜日

とんど

   この国は不思議な国だ。テレビをつけると「二十歳のつどい」だ「十日戎」だと賑やかで、「もうすぐ春節休暇のインバウンドが再開されるだろう」とどことなく浮かれている。

 同じ日の新聞は社会面にこじんまりとコロナを報じて、朝日新聞の9日版でいえば、コロナ死者数が8日に6万人を超えた。5万人を超えた12月1日から1か月余りで6万人に達した。8日の死者数の最多は大阪府で29人。8日の新規感染者数は18万余。1週間前の1月1日よりも10万人余多い。エトセトラ。この落差は何だろう。

 まるで弱肉強食だ。自己責任だ。コロナより金儲けだ、経済で殺されていいのかと政府は舵を切ったのだが、庶民は、感染力が落ちたらしい、ヨーロッパも中国もマスクを外したらしい、普通のインフルエンザと変わらなくなったらしいと、洗脳に気づいていない。

 そんなわけで、昨年一昨年はネットでお詣りをしてカード決済で福笹を戴いていた十日戎。今年こそは今宮戎に実際に行こうと思っていたが、あの混雑に突入するほど私は思慮浅くはない。

 ということで、今年の十日戎はパスすることにして、わが庭でささやかな「とんど」を行って正月行事を締めくくることにした。
 「とんど」といっても正月飾り関係を焚き上げただけだが、生ごみとして出すのとは違って気持ちがいい。
 おまけにその清浄な火で焼いた焼き芋を夫婦で戴いて2023年の平和を炎に託した。

 先日、ユーラシア研究フォーラムでのキャミラ・マジュルーノヴァ氏発表の「タジキスタンのゾロアスター教拝火寺院」なる論文を読んでいたこともあり、炎に神聖な力を見た先人たちと共鳴したかのような気分になった。私は「とんど」や密教系の護摩供の背景にゾロアスターの拝火の思想を見る。
 ただの焚き火と言うなかれ。

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