2023年1月5日木曜日

墨子を覗き見る

   昨年の後半ごろから急激に文字が読みづらくなり読書が進まず、かといって、書店には興味の湧く書名が並ぶので、読みかけの本が積み重なったまま年を越した。その一つが半藤一利著『墨子よみがえる』である。
 少し読んでは置き、少し読んでは別の幾分軽い本を読む。

 年賀状を数々頂いたが、世を憂える言葉も多かった。安保3文書の閣議決定がもう少し(11月ぐらいに)早ければ、もっとその声は多かっただろう。
 
 戦争か平和か、というよりも正に「戦前にしてはならない」という心配や決意が膨らんでいる。・・読みかけのこの本を引っ張り出して、もう一度よみなおさなければ・・。

 墨子については、白川静氏の著書で感銘を受け、その思想は行基集団に辿り着いたのではなどと勝手に想像したりしていたが、半藤一利氏は墨子を徹底した非戦論者、反戦思想と捉え、第二次世界大戦下で育った経験から「今こそ日本国民は墨子を読むべし」と遺言されたのだった。

 この本の後ろには、「現代日本の墨子」と氏が讃えた中村哲氏との対談も付いている。
 これ以上の視力の低下が進まないうちに読書再開だ。

1 件のコメント:

  1.  この本は、墨子を鑑にして、明治から昭和前期の神国思想(皇国史観)が如何に狂ったものであったか、そしてアベ政治以降の現代が同じ誤りに陥りつつあるかを説いている。氏の「遺言」に耳を傾ける(一読する)価値は十分にある。

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