2021年8月3日火曜日

プレーブック 虚しい

   新型コロナ対策の行動ルール(プレーブック)違反で小国の選手が資格を剥奪されたと報じられている。観光目的で外出したからという。

   ただ一昨日書いたように、金持ち国の「有力競技団体」の選手は最初から選手村に入らずホテルを使用しているからバランスはとれているのだろうか。上記の選手は見せしめに祭り上げられただけということはないだろうか。

   そのプレーブックだが、応援は拍手だけで声援はダメとされているが、山下JOC会長はマスクを外して声援していたらしいし、テレビの場面では選手と関係者がやたらに握手をしたりハグをしているが、誰もメダルを剥奪されていない。不思議である。

   私は、決して皆を処罰せよと言っているのではない。そうではなく、最初からできもしないことが分っていながら、ルールは作った、厳密に従ってもらう、だから安全な大会だ、と言う空虚さ、それを全く批判もしないマスコミに、私はある種の疲労感を覚えているだけだ。

   この種のことは昨日今日のことではないし、オリンピックだけのことではない。現職時分にこんなこともあった。

   封書を誤って違う人に送付した事件があった。個人情報漏洩問題である。その再発防止策が『今後は発送前に宛先と中身を上司と複数人で再確認する』というものだった。郵送する量は膨大だし、上司は上司で業務が山積みで、そんなことは出来っこない。早い話が人を増やさない限り解決はなく、誰もが嘘臭いと思う「防止策」なるものが「出来上がり」、その後の再発事案は「決まった要領を踏まなかった担当と上司の怠慢」として処分されるだけだった。できもしない「防止策」をつくった者は不問である。

   また、不正を行った職員の機械処理(業務はほとんど機械処理される)の再発防止策も、上司が正しい処理かどうかをリアルタイムで確認するという「防止策」が出た。そのままいえば、上司は四六時中部下の機械処理を監視しておかなければならない。そんな要領で業務が遂行されるはずもないが、それで終わりである。

   人員の確保、合理的なチェック体制、本気で議論すべき課題は全てそんな虚しい「防止策」の後ろに追いやられた。プレーブックのニュースに接して、この国はひとつも進歩していないなあとため息が出た。

   コロナがなくても、嘘にまみれたオリンピックの精神は大いに議論される必要があるだろう。

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