2021年2月8日月曜日

大阪一元化条例のこと

   大阪の広域行政一元化条例案なるものに関して元大阪府知事小西禎一氏がFBで主張されている意見が非常に的を射ているように考えるので、記録の意味もあって転載させていただく。

 そもそも小西禎一氏はWikipediaによると、1980年(昭和55年)3月、東大法学部(政治コース)卒業4月大阪府に入庁。2008年(平成20年)2月、橋下徹知事(当時)の設置した改革プロジェクトチームのリーダーとして抜擢され、2009年(平成21年)4月、総務部長となる。松井一郎知事1期目の2012年(平成24年)10月から副知事を務めたが、総務部長を務めていた際に維新の会の方針に反発したこともあり、松井知事1期目の任期満了となる2015年(平成27年)1126日付で辞職した。なお、辞職にあたり、松井知事から「財政再建のリーダーとして黒字転換させた立役者」と評価し、ねぎらわれている

 副知事として、維新の会の主張する大阪都構想の事務局となる(大阪府市)大都市局なども担当。「意見の違いははっきり言うが、行政公務員として府の方針に従うのは当然」として奔走したという。

 2019年(平成31年)47日投開票の大阪府知事選挙に無所属で立候補。自由民主党と公明党府本部、連合大阪から推薦を受け、立憲民主党や日本共産党からの自主支援を受けた。大阪府と大阪市の課題については、調整会議で議論し解決できるとの考え。副知事時代に自ら制度設計した視点から、大阪都構想や住民投票は無駄な支出をもたらすだけとの立場をとる。そして「分断と対立の府政に決別をしてオール大阪で大阪の成長を勝ち取っていこうではありませんか」と話し、「都構想の終結」を訴えた。 しかし、大阪維新の会公認で元大阪市長の吉村洋文に敗れ落選した。小西禎一氏の紹介は以上のとおり。以下は全文小西氏のFB記事の転載。

 ◆ 広域一元化条例、維新と公明合意をめざすとの報道がありました。

 昨年の住民投票で示された民意は「指定都市大阪市の存続」です。成長戦略や重要な都市計画策定権限を府に委ねる一元化条例が民意に反することは明らかです。公明党はダブル選挙の結果から民意に従うと「都構想」賛成に舵を切ったのでしょう。それなら今度は住民投票による民意を踏まえて一元化条例に反対すべきではないのですか。

 事務委託とは金は負担するが権限は失うという委託する団体(大阪市)にとって極めて不利な制度です。ですから自ら執行するより委託したほうが得するという極めて限定された場合に利用される制度です。成長戦略にしろ都市計画にしろ大阪市はこれまで立派に自ら執行してきたのです。都市計画についていえば、大正8年の旧都市計画法制定以来その事務を行い、地下鉄や御堂筋などたくさんの成果を挙げてきています。大阪市にはこれらの事務を委託する理由は微塵もないというべきです。

 再度言いますが事務委託は「うちではうまくできませんから費用は持ちますのでどうか一緒にお願いします。」という制度です。大阪市からすれば極めて屈辱的な話です。また、大阪市は成長戦略や都市計画など府の決めたことを執行する下請け自治体に成り下がってしまいます。広域一元化と耳障りはいいかもしれませんがその実態は大阪府への権限の献上であり、大阪府と上下の関係になることを容認するということです。こんなことに事務委託制度を使うのは同制度の濫用であり、地方自治の歴史に泥を塗るような一元化条例に公明党は毅然と反対していただきたいと思います。

 これまで大阪府は堺市の指定都市移行を支援し、中核都市を全国で一番多く誕生させ、市町村への権限移譲を進め全国一になっています。一貫して市町村の権限強化を図ってきました。権限の強くなった市町村の発言権が強まるのは当然です。府と市町村で調整すべきことも増えますが、大阪府はそんなことは百も承知で、「大いに議論し一致点を見出そう。それが広域自治体のだいご味だ。」と胸を張ってきました。いつから『常に意見が一致しないといけない。そのため市の権限を弱めるんだ。』という情けない自治体になってしまったんでしょう。公明党もこれまでずっと地方分権改革を進めてきたと思います。地方分権改革に逆行する一元化条例にはきっぱりと反対すべきです。

 小手先の修正でこの条例の本質が変わることはありません。

 地方分権改革を進めてきた大阪府がその本道に立ち返ることを切に願っています。◆

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