2020年8月31日月曜日

今は無き故郷の海

   このブログで以前に書いたことがあるが、私は小学生の頃、夏休みというと毎日のように海に遊び、夕方には遊びの間に足で砂を掘って採ったモチ貝を持ち帰り、コンロで焼いて醤油を垂らして友人たちと食べたていた。その味は今も想い出の味である。

 ところが茅渟の海(大阪湾南部)の暮らしや歴史に関する本を開いても「モチ貝を食べた」というような文章にはなかなか出会うことがなく、ネットで検索したときには「モチ貝は不味い」という文章にまで出会って驚いたことがある。
 そんなもので、故郷の海ははるか昔に巨大コンビナートに変わり、スーパーの魚売場にそれは勿論並ぶこともなく、私は「孤塁を守る」気分で、その後巡り合った友人たちに「モチ貝は美味しかった」と言い続けてきた。

 さて、8月30日のしんぶん赤旗6面投稿欄に『ふるさと自慢』というのがあり、『遠浅の堺の海に』という長田平さん(90歳)の投稿があった。
 長田さんはだいぶ先輩にあたるが、その「遠浅の海」はきっと私の遊んだ海「堺の大浜」のことだと思う。
 そしてその投稿には「浅瀬でモチガイが捕れ、持ち帰って七輪の炭火で網焼き。ぽっかり口を開いてしょうゆをたらして食べる味は忘れられない」とあり、私の記憶もいっぺんに小学生の頃の堺の大浜とモチ貝にタイムスリップしてしまった。

 歳をとると、特に先日来体調が芳しくない状態が続いていたので、こういう何ということもない投稿に嬉しくなった。
 そういう意味でも投稿欄は大切だと思う。気力を回復させて私も投稿に挑戦したいものだ。
 なお、この堺の大浜の海は、与謝野晶子が「海恋し潮の遠鳴りかぞへては少女(おとめ)となりし父母の家」と詠った海でもある。
 長田さん、投稿ありがとうございました。

2 件のコメント:

  1. 元気を出して貰おうと「載ってるよ!」とお知らせしようと思っていたところです。

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