2020年8月9日日曜日

核兵器禁止条約

 75年前の8月9日、長崎に原子爆弾が投下された。その悲惨な様子の一端は6日のブログに書いた。
 今日は主に核兵器禁止条約(TPNW)を考えたい。

   核兵器は20206月1日現在1万3410発地球上に存在している。
 広島、長崎の原子爆弾は、今から見れば極めて旧式の小型のものだったが、4か月余りのうちに21万人の命をうばい、生き延びた人々も放射線障害などによって長年苦しんだ。
 被爆者が語る言語に絶する体験は、この兵器が他に例をみない非人道的な大量破壊兵器であることをはっきりと示している。いかなる理由であれ、いかなる地においても、再び使われてはならない「悪魔の兵器」である。

 また核戦争防止国際医師会議「核の飢饉2013年」によると、現存する核兵器のごく一部(100発程度)が都市で爆発しただけでも、舞い上がった粉塵によって、地球全体の気候に変動がおき、20億人が飢餓に瀕すると忠告されている。

 にもかかわらず、トランプ政権は、より使い易い「小型」核兵器の開発に踏み出し、1980年代の米ソ対立時代につくられたINF条約(中距離核戦略全廃条約)から一方的に離脱を表明し、2021年に期限をむかえる米ロの戦略核兵器制限条約(新START)が延長されない可能性も高まっている。

 現在、米ロ両国では約1800発の核弾頭を搭載したミサイルが「高度警戒態勢」にあるといわれていて、これは何か異変があればすぐにでも発射できる状態になっているということで、意図的な核攻撃だけでなく、人為的なミスなどで核ミサイルを打ち合いかねない危険な状態にある。つまり、核兵器が偶発的に使われてしまう危険が常にある。

 こういう状況下で2017年7月、核兵器禁止条約(以下TPNW)が国連加盟国の約3分の2にあたる122カ国の賛成で採択された。
 TPNWは、国際協定として歴史上はじめて、核兵器を明示的に違法化し禁止するもので歴史的な意義ある条約だ。
 条約は8月6日現在43か国が批准していて、50番目の国が批准してから90日後に発効することになっているのであと7か国だ。

 6日の広島市長の平和宣言でも条約批准を政府に迫り、式典後の被爆者代表による首相との会談でも同様の要求が出されたが、安倍首相はそれに応えなかった。
 戦前の国際連盟脱退ではないが、日本の安倍政権は世界の厄介者になりつつある。

 私自身の記憶を遡ってみると、ふた昔ほど前には「核抑止力論」が真顔で語られていた。
 「それはチキンレースだ」というまともな指摘は「お花畑だ」と嘲笑されたこともあった。
 しかし、被爆者による世界へのアピール行動や、毎年の原水禁世界大会や、その日に向けて全国から歩いて向かう平和行進などの積み上げで、核兵器禁止条約(TPNW)発効目前まで私たちは今たどり着いている。
 先駆者の苦労する姿を笑う者はいつの時代にもいるものだ。しかし、言い出すもの、それをコツコツと引き継ぐものが真の歴史の主人公になるのだ。
 SNSをお持ちの方々は、皆さん自身の声でヒロシマ、ナガサキを語ってほしい。

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