2019年8月12日月曜日

少女像を嫌うメンタル

 あいちトリエンナーレの「少女像」を嫌い「撤去せよ」「中止せよ」と主張する人々の主張には二種類の論がある。

 その一つは、大日本帝国の軍部が従軍慰安婦と呼ばれる常識外れの性奴隷制を採っていたのは事実だが、従軍していた祖父や父親の関わったそんな恥ずかしい事実を今さら話題にしてほしくないというものだ。
 しかしその態度は、昨日書いたドイツのマース外相の態度と比べてみて、あまりに身勝手で不真面目だと言えよう。
 現代のドイツの国民がナチスドイツ時代の誤りを反省して謝罪している態度こそ人としてあるべき姿であることは言うまでもない。
 現代のドイツという国と国民がそのことによって世界中から軽蔑されているかというとそうではなく、現実にその態度故をもって尊敬を受けている。
 重ねて言うが、ドイツにもナチス時代の支持者や公務員はいた。彼らの反省がどれほどつらいものであったかは想像できる。でもドイツはそれを乗り越えてきたのだ。
 子や孫としての「痛さ」を判ってほしいというかもしれない。その気持ちは痛いように判る。
 それなら同時に、彼の地の少女や、娘や妻や姉や妹が被った辛さを想像してほしい。
 そういう想像力の働く者を「大人」というのだと思う。

 その二つは、従軍慰安婦などというのは朝日新聞のでっち上げで、そんな事実はなかった。誤解されるようなその種の慰安所は公娼館のようなものであり、強制連行も常識外れの性の強制もなかったから、事実無根の政治宣伝だというものである。
 維新の吉村大阪府知事、維新の松井大阪市長、そして河村名古屋市長、さらには産経新聞等の主張はほぼこういうものである。 
 
 それでは事実はどうか。
 終戦時軍部は徹底的に軍に関する証拠書類の償却・隠滅を行った。
 私の父も、民間会社であるはずの松下飛行機の「上級職員」として徹底してそれを実行した。
 それゆえ、軍部の不正に関する証拠が不十分であるのは否めないが、そのことをもって「事実は解らない」というのは愚かか虚偽隠ぺいに加担する態度であろう。
 
 それでもこの国には「天網恢恢疎にして漏らさず」という格言がある。
 1983年サンケイ出版は『いま明かす戦後秘史』という対談本を刊行し、当時サンケイ新聞社社長の鹿内信隆氏と戦後財界四天王の一人櫻田武氏がこう語っている。
鹿内 ・・・戦地へ行きますとピー(慰安婦の蔑称)屋が・・・
櫻田 そう、慰安所の開設。
鹿内 そうなんです。その時に調弁(戦地で調達)する女の耐久度とか消耗度、それにどこの女がいいとか悪いとか。・・・持ち時間が、将校は何分、下士官は何分、兵は何分・・といったことまで決めなければならない。(笑)。料金にも等級をつける。こんなことを規定しているのが「ピー屋設置要綱」というんで、これも経理学校で教わった。

 このように、形式的には民間業者の建前であった場合でも、実際には軍の指揮・監督下にそれは行われていた。
 では一切「強制」はなかったのか。
 その本では次のようなことも語っている。
鹿内 ・・・その人(フィリピンを攻略した第14軍の経理担当将校)の報告は、要するに「すばらしい」というんです。何がすばらしいのかといったら、マニラ大学の女の学生は全部セレベスとか、方々の島の豪族の娘たちが集まっていた。ところが、日本軍がマニラに上陸したら、島に帰れなくなっちゃった。寄宿舎にいるやつが、みんな孤立しちゃったわけだ。それを日本の将校がいただくわけだ。それが、いかにすばらしいかという報告で終始一貫終わっちゃったわけね。その戦況報告の話が・・・
 
 こういう証言はいっぱい残っているが割愛する。
 これでも性奴隷ではなかったというのは、財務省事件同様の虚偽である。

 結局少女像を嫌う人々は、反省するのが嫌なだけである。
 そういう恥を知らない態度こそが世界中で日本と日本人の評価を落としているのである。あえて言おう、ドイツを見習おうと。

2 件のコメント:

  1. テストです。

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  2.  ケンタさん、テストのコメントありがとうございます。確かに入りました。
     今後ともどうかよろしくお願いいたします。

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