2019年8月21日水曜日

神の使いの使い

 19日に記述したルリセンチコガネのルリ、つまり瑠璃色(るりいろ)とは、濃い紫みがかった鮮やかな青色のことで、仏教世界の中心にそびえ立つ 須弥山で産出される宝石の色。仏教世界の7つの宝(七宝)の一つとされている。
その七種(ななくさ)の宝とは、「金」「銀」「玻璃(はり、水晶)」「瑪瑙(めのう)」「シャコ(蝦蛄貝の貝殻)」「珊瑚」そして「瑠璃」。

Tシャツ
   一般には、イスラムブルーの代表格である半貴石のラピスラズリ( lapis lazuli)の色でもあり、ラピスラズリを粉砕し精製した顔料は天然ウルトラマリンである。(ただし、瑠璃色と瑠璃の粉末の色である天然ウルトラマリンの色は異なるとの説もある)
 なお「真珠の耳飾りの少女」で知られるオランダの画家フェルメール(16321675)も絵に「ウルトラマリン」を使用し、「フェルメール・ブルー」と呼ばれているのは有名。

 さて、糞を食べるコガネムシを糞虫、一般にフンコロガシというが、日本におけるその代表格がオオセンチコガネで、奈良公園にいるのも「種」としてはこれである。
 ただし、奈良公園のオオセンチコガネが特に瑠璃色に輝いているので特にルリセンチコガネと称されている。

 世界と歴史に目を向けると、フンコロガシの王者はエジプトのタマオシコガネ(スカラベ)で、古代エジプトの王家の墓からはスカラベを模した装飾品が多数出土している。
 そのわけは、スカラベが転がす丸い糞を太陽に見立てて、太陽をつかさどる神だと考えられたと言われている(ああ、何という想像力だろう)。
 春日の神鹿(神の使い)の糞をどこかに運び去るルリセンチコガネとどこか似ている臭いもする(糞の臭いと言ってしまえば身も蓋もない。物理的な意味の臭気のことではない)。ルリセンチコガネは神の使いの使いであろう。

 先日私の着ていたTシャツだが、「大仏殿と興福寺五重塔と鹿」が映っている大きな糞を運んでいるのだが、ただのまんまるの糞のデザインの方が解りやすかったかもしれない。
 最初、妻が「なにそれ?カブトムシ?」と私に聞いた。カブトムシではメッセージ性もなく面白くも何んともないではないか。

0 件のコメント:

コメントを投稿