2016年6月20日月曜日

信じた者は救われない

季節の写真(興福寺五重塔のイソヒヨドリ♀か幼鳥)
   「消費税を増税しないと社会保障が維持できない」という意見がある。
 私は、この意見を言う人には、何もかも知ったうえで嘘をついている人間と、知らずにそう思い込んでいる人がいると思っている。
 そこで、そういう意見がほんとうに正しいかどうかは、「ああ言えばこう言う」ような言葉を弄ぶのでなく、世の中の事実、歴史の事実で検証するのが一番大事ではないかと思っている。

 なので、そもそも「社会保障のため」と言って導入された消費税導入後28年間で行われた事実を語ると、この間の消費税の税収が327兆円だったが、その一方で他の減税と不況で落ち込んだ税収が法人税△270兆円、所得税・住民税△261兆円であった。
 だからもし「消費税が社会保障のため」であったなら、この間に社会保障だけが充実して、他の分野は超緊縮財政になっていたはず。
 いうまでもないが事実はその反対で、例えば、安倍政権発足後4年で1兆3200億円の社会保障の自然増が削減され、国民一人当たり社会保障支出はOECD34カ国中17位まで低下した。
 327兆円は、社会保障のために使われたのではなく、大企業と富裕者減税や無駄な公共工事、軍事費増強に使われたのである。
 となると、この先も、消費税が増税されても社会保障が充実する保証は全くなく、政治のしくみ・・税制や財政の考え方の転換をしなければ問題は可決しない。

 つまり、不公平税制を改めて応能負担原則の税制に換えれば20兆円、大企業優遇税制を改めれば4兆円、その他税制に民主主義を徹底すれば、消費税に頼らない財源、「社会保障も経済も向上する」経済政策は可能だと考える。

 アメリでは大富豪が「我々に、もうちょっと税金を払わせてくれ」と言っている(著名な投資家ウォーレン・バフェット氏ら)そうだが、日本の大富豪からはそんな声は聞こえてこず、経済問題のネットニュース上には使い道に困ったバカ者の酒池肉林の噂が載っている。
 所得税や相続税等の大金持ち用の最高税率は、とりあえず「引き下げ前」に戻すべきだろう。
 証券税制はせめて欧米並みに課税すべきだろう。
 為替投機にも課税すべきだろう。
 タックスヘイブンを利用した「税逃れ」にきちんと負担してもらおう。
 こういう「消費税に頼らない財源」は全く可能だし、これと大企業の内部留保の一部を使えば、消費が伸び経済が成長し税収も安定するというものではないか。
 そういう落ち着いた議論がメディアからほとんど聞こえてこないところが現代の問題点だ。

 「消費税増税なくして社会保障充実はない」というような根拠のない「思い込み」「勘違い」は卒業したいものだ。

 「思い込み」「勘違い」と言えば、先日東大寺の西側の奈良県庁近くを歩いていたとき、後ろを歩いていたファミリーが、「やあ、トウダイジってあんな風にも書くのね」「へ~知らんかった」というように話していた。
 今しがた大仏殿に行ってきたのだろうからそんな大発見に感動しているようだった。
 で、水を差すのも悪かったが、「あれはトウダイジではなくノボリオオジ(登大路)です」と教えてあげたのだが、・・・・勘違いというのは、信じたその当事者には何も見えなくなるものだ。

3 件のコメント:

  1.  登大路を「とうだいじ」と読むか! とお笑いの皆さん、政治の世界ではそれ以上のデマや暴論、勘違いがまことしやかに信じられているとお思いになりませんか?
     政党交付金を懐に入れてパーティー券を買わせまくって「身を切る改革」って言っているお人もおられますし。

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  2. お人などとは,,,こういう場合は「手合い」と云うべきです。

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