2025年8月6日水曜日

歴史に対して真面目であれ

 
    今年、202586日ヒロシマと89日ナガサキのそれぞれの80年前の原爆による被爆の日を迎えるにあたり、はっきりと主張しておきたいことがある。トランプ米大統領の625日の発言についての抗議である。
トランプは625日、アメリカ軍がイランの核施設に行った攻撃をめぐり、広島と長崎への原爆投下になぞらえる発言を2回行なった。
一つは NATO首脳会議出席の際、NATO ルッテ事務総長との会談で、イランの核施設について『被害は非常に深刻だ』などと成果を強調した上で「あの攻撃が戦争を終結させた。広島を例として使いたくない。長崎を例として使いたくない。しかし、本質的には同じだ。戦争を終わらせた」と発言、
二つは、同じ日に行われた別の記者会見で、「広島や長崎をみれば、あれが戦争を終わらせたことがわかる。これは違う形で戦争を終わらせた」と発言した。先に結論を言えばこれは事実ではない。嘘である。

80年前の1945年、後に明らかとなった「アメリカ戦略爆撃調査団報告」によると、「たとえ原子爆弾が投下されなかったとしても、たとえソ連が参戦しなかったとしても、さらにまた、上陸作戦をしなかったとしても、日本は19451231日以前に必ず降伏したであろう」としていたし、事実日本は既にソ連に和平交渉を申し入れていた。
多くの言葉はいらない。アメリカがあの時期に原爆を投下した真の理由は、ソ連の参戦予定日以前に原爆を投下することそれ自体であった。30万人を超えるヒロシマ・ナガサキの死者は「数百万人の生命」を救うためにではなく、占領後の日本におけるソ連との血まみれの権限争いのためであった。

核の脅しこそが戦争を抑止するという「核抑止論」も現実のロシアやイスラエルによる蛮行の事実によって全く崩壊している。
今こそ「チキンレースではなく外交を」という良識ある世論を自信をもって広げたいものである。
原水爆禁止世界大会に注目しよう。
(この記事は家永三郎編『日本の歴史:7』を参考にして記述した)

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