2020年3月21日土曜日

命という実印

   赤木俊夫氏遺書は、証拠隠滅、公文書改竄というモリトモ事件後半の発端が安倍首相の国会答弁であったこと、文書の改竄は全て佐川局長の指示であったことを生々しく告発している。
この、命という実印を捺印した証拠書類にも拘わらず「再調査はしない」という政権は、法廷闘争を軽んじるつもりはないが、世論の力で退場させるしかない。

今回の相澤冬樹記事で私が改めて驚いたことが一つある。
それは「大阪地検特捜部はこの事実関係をすべて知っています」というくだりであった。
引用する。
1225日、俊夫さんは震える小声で昌子さんに告げた。
「きょう、とうとう電話あったわ。医師は止めていたはずなのに。こんな辛いのに、ドクターストップがかかってるのに、電話が来た」
この日のメモ帳には「久保田検事より受電」とある。
実はそれに先立って検事が俊夫さんの主治医に事情聴取が可能か尋ねていたことが、主治医の話でわかった。主治医は「病状が悪化する」と聴取を止めた上で「手紙かメールであいさつ程度に様子をうかがったらどうですか?」と話した。だが検事はすぐに俊夫さんの携帯に電話をかけて20分間も話したのだという。20分は挨拶のレベルを超えている。事実上の聴取と言われても仕方ないだろう。
これをきっかけに俊夫さんの病状は極端に悪化した。
「僕は職場に復帰したら検察に呼ばれる。検察は恐ろしいとこや。何を言っても思い通りの供述を取る。検察はもう近畿財務局が主導して改ざんしたという絵を描いている。そのストーリーから逃げられない。ぼくが何を言っても無理や。本省の指示なのに最終的には自分のせいにされる。ぼくは犯罪者や」(引用おわり)

私のこれまでの感情では、官邸(首相と昭恵夫人)、財務本省が真犯人で、大阪地検はそれを追及できない弱虫だと思っていた。
しかし、それは甘かった。官邸は検察にもネジを巻き、大阪地検特捜部は赤木さん一人をスケープゴート(身代わりの生贄)にして一件落着にするシナリオで共犯関係であったのだ。

私は現役時分いわゆる過労自殺をたくさん担当した。それだけにたくさん勉強もした。
その常識からすると、重いうつ状態でドクターストップがかかっている患者に対して行った大阪地検特捜部の対応は、自殺念慮の「最後の一押し」であったかもしれないと腹の底から怒っている。


さて、首相夫人付け秘書官のご褒美人事といい、財務省の関係者のご褒美人事と言い、この国は途上国の独裁国家の体をなしているが、モリトモ事件当時の山本真千子大阪地検特捜部長は、その後同期のトップを切って函館地検の検事正に就任し、さらに昨秋には大阪地検ナンバー2の次席検事に就任した。大阪地検次席検事というのはエリート中の出世コースである。不純である。
   そういえば、籠池夫妻を300日も拘置所に閉じ込めて言論を封じたのも彼女であった。考えれば恐ろしいことである。

この131日、安倍内閣は検察庁法違反の閣議決定を行い検察庁人事に介入した。
強大な権限を持つ安倍内閣が違法な手段を使ってまで検察を支配下に置く。暗黒の「警察国家」が完成したときには「もう遅い」。
理性と民主主義を大事にするために、赤木夫人の提訴を大いに支援したいと思っている。

  春朝や先ず磯鵯(いそひよどり)はアリア

2 件のコメント:

  1. 今回こそ世論の力を得て国会論戦の成功をと願いながらも、従来通りの手法で強引に逃げきるだろうと思ってしまいます。すでに全権力を掌握した独裁者になってしまっているから。諦めたら駄目!と自分に言いきかせています。勝率の高い松丸弁護士に期待しています。#赤木さんを忘れない

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  2.  現職の時分、職員研修で私は「私たちの窓口に来るのは非常に大変な心理的苦労があるのだから、その心をよく理解しようとしなさい」と語ってきた。そういう意味で・・・
     赤木昌子さんの今回の決断はほんとうにすごいことだと思います。相澤記者や弁護士に引っ張られていやいや提訴したものではないと思います。敬意を表したい気持ちでいっぱいです。
     彼の自死後「財務局で働きませんか?」と持ち掛けられたのは、一つは親切心だろうが、はっきり言えば『口封じ』でしょう。その時「佐川さんの秘書にしてくれるならいいですよ。お茶に毒盛りますから」と答えたという。ほんとうに森友事件が許せなかったのだろう。#赤木さんを忘れない

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