2020年2月24日月曜日

紙手(こうで)

   芭蕉の有名な句に「水とりや氷の僧の沓の音」がある。「籠(こも)りの僧」と書かれているもの(芭蕉翁発句集など)もあるが「野ざらし紀行」は「氷」らしい。
 氷と籠りについては大論争があり定説は氷らしいが、私個人としては籠りであった方が句としてすっきりする。

 「水とり」つまり東大寺二月堂のお水取り(修二会)は天平勝宝4年(752)から途絶えることなく続けられ今は1269回目の諸行事が粛々と進められている。
 
 さて、それくらい伝統ある法会(ほうえ)であるから珍しいしきたりも多い。
 タイトルの紙手(こうで)もその一つで、紙衣(かみこ)と同じ仙花紙(せんかし)で作られた状差しのようなもので、二つ折りにして参籠宿所の壁に貼りつけて紙類などを差し入れて保存するのに使うのだという。
 これは普通、練行衆一人に10枚前後の「紙手」の奉納があるそうだが、参籠宿所の壁に貼れるのは2枚だけという決まりとのこと。籤で配分されるらしい。

 過去に使われたその一部が東大寺ミュージアムに展示されていたが、杉本健吉氏や須田剋太氏ら著名な画家が絵を書いて寄進している。
 その中に、21世紀の風狂の俳諧師と呼ばれているらしい中原道夫氏の作品?もあり、撮ってもいいというので撮らせていただいたのが掲載のものである。
 句は「鬼もまた こころのかたち 豆を打つ」で、なるほど、外部からやってくる鬼(邪気)にばかり気持ちが行っていたが、自分の中にも鬼がいるとはと妙に感心した。

 新型肺炎のことだけでなく、現代日本人はもっと自省が必要な気もする。
 自民、公明、維新の与(+ゆ)党の皆様に聞かせたい。

   内にいる鬼に豆を打ちつけよ

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