2017年5月11日木曜日

世界平和度指数

 世界平和度指数というものがある。
 イギリスのエコノミスト紙が163の国の24項目について数値化してランキングを発表している。
 24項目は、1、対外戦・内戦の数 2、対外戦による推定死者数 3、内戦による推定死者数 4、本格的な内戦の程度 5、近隣国との関係 6、他の市民に対する不信感の程度 7、人口に対する難民・追放者の割合 8、政治的不安定さ 9、人権尊重のレベル(政治テロの程度) 10、テロ活動の潜在的可能性 11、殺人事件の数 12、暴力犯罪の程度 13、暴動の可能性 14、犯罪収容者の数 15、警察・治安維持部隊の数 16、GDPに対する軍事費の比率 17、軍人の数 18、普通一般兵器の輸入量 19、普通一般兵器の輸出量 20、国連の介入度 21、国連以外の介入度 22、重兵器の数 23、小型武器・携帯兵器の入手しやすさ 24、軍事力・精錬度 である。
 だいたい、「平和度」というような複雑な社会問題を数値化出来るのか、この24項目に過不足はないか、項目ごとの指数化が妥当かなど種々の問題はあるが、その結果を見ると、概ね納得できるような気になる。

 第二次安倍内閣発足以前の2011年と最新の2016年のランキングで特徴的だと思われる感想を述べて見る。
  2016年の平和度ランキングベスト8は次のとおりである。
 1位、アイスランド 2位、デンマーク 3位、オーストリア 4位、ニュージーランド 5位、ポルトガル 6位、チェコ 7位、スイス 8位、カナダ
  日本は2011年で3位だったものが2016年では9位に落ちている。
  特徴的な国々のランクは次のとおりである。()内は2011年
 オーストラリア15位 ドイツ16位 イタリア39位 台湾41位 フランス46位(36) イギリス47位(26) 韓国53位 アメリカ103位(82) 中国120位 インド141位 エジプト142位 イスラエル144位 北朝鮮150位 ロシア151位 アフガニスタン160位 イラク161位 南スーダン162位 シリア163位
  このランキングは「軍事力が戦争の抑止力であり平和の力」という「抑止力論」に正当性がないことを示している。
  日本の9位は「腐っても鯛」ではないが満身創痍と言えども平和憲法のたまものである。 

 安倍晋三は、5月3日付け読売新聞紙上で、憲法9条を改定して自衛隊を明記し2020年に施行すると表明した。
 国会で追及されると、首相として言ったものではなく自民党総裁として言ったものだからと卑怯にもまともな答弁を事実上拒否した。
 先の選挙の折りは「改憲は争点ではない」と強調し、選挙後は「改憲の公約が信任された」と詐欺師の論法を展開したが、その続きと言えよう。。
 これまでの国会では「自衛隊は合憲だ」と何百回も答弁しながら、讀賣新聞紙上では「合憲化するために明記する」と述べ、本音では「自衛隊は違憲の存在だ」と考えていることを暴露した。「語るに落ちる」とはこのことだろう。
 つまるところ、9条2項を空文化して、海外で無制限の武力行使をしたいのだ。

 安倍晋三をしてそこまで突っ走らせる衝動は二つあるように思う。
 一つは、森友・塚本幼稚園問題のように自分が危なくなると「仲間」を裏切る狡猾さに対する右翼陣営からの反発や、口先だけ勇ましい拉致問題で進展しない家族ら右翼陣営の不満や、「6か国協議は無意味だから軍事的圧力を」と言った途端トランプに梯子を外されるような状態で、どうも大きな花火を打ち上げないと先が危ないと考えたこと、
 二つは、大失敗が明白になろうとしているアベノミクスなる経済政策の行き詰まりを、軍事特需で打開したいという究極の悪魔の選択(このことについては5月8日の「落ち着け!」という記事を参照願いたい)、

 安倍自公(維)政権の暴走は目に余るが、怖ろしいことは「もうそんなものか」という慣れや諦めやシラケだろう。
 平和度ランキング9位からの降格を見過ごしていてよいものだろうか。

    邪な奴に母鳬(けり)闘いぬ

 この頃、家の周囲をケリケリケリケリとけたたましく鳴きながら鳬(けり)が飛んでいる。鳬は巣を守るために果敢に戦う。あのパワーを見習いたいものだ。

2 件のコメント:

  1. この時期になると近所のスーパーの広い駐車場でケリがけたたましく鳴きながら飛び交います。毎年来るという事は巣をつくるのか、何かの目的があるのだろうと思いますが。

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  2.  田植え前の一瞬に田圃で子育てをしているように見えます。

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