以前の朝ドラ「ごちそうさん」で「魚島季節(うおじまどき)のご挨拶」という場面があった。例によってめ以子が和枝にイケズされていた。
わが家の文化のルーツは船場の商家のそれであるので、「昔は桜鯛を贈答していた」という話は親から聞いていた。
ちなみに桜鯛とは4~5月頃産卵期の真鯛で、魚島とはそれが群れて島のように盛り上がって見えたことをいう。
先日は産直市場で立派な鯛のアラを見つけた。
貧乏人のやせ我慢ではないが、魚料理の中で鯛の兜ほど美味しいものはない。
兜炊きだけでなく、塩焼き、潮汁もよい。
頬肉、目玉、唇、おでこ、そして顔の裏側をせせった後、鎌に移って「鯛の鯛」を眺めるのが私のルーティンである。
以前に息子の嫁に「用意しておく料理は何がいい?」と尋ねたとき「普通の料理がいい」と返事があったが、それはきっと、その前の兜炊きに手を焼いたからだろう。兜を綺麗に分解していくのはある種の技術である。そして鯛の鯛も。
娘が年頃であった頃、宴席で当然のように鯛の目玉を食べたところ、友人たちからドン引きされたと報告があった。
河端茅舎が、桜鯛かなしき目玉くはれけり などと詠んだのがいけない。
訳もなく自慢したくなる鯛の鯛
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